「最近、村人以外の人間がここに来ましたか?」

「いいえ。私の知る限りではありません。
もっともこんな何もない不便な村、時折村人の身内や友人が訪ねてくるだけで、来客自体少ないんですが」

「そうですか…何か最近、村や森で変わったことがありましたか?」

「いいえ。私はあまり外には出ていないので…」



老人の言葉に神田達の視線は下へと向けられる。

杖をついている。歩くのもやっとのことなのだろう。
外にあまり出ない、という言葉にも頷けた。

神田達の視線を感じたのか店主は苦笑した。



「足を悪くしてしまってね。それで店の買い出しもほかの村人に頼む始末ですよ」



神田はじっと考える。
レティシアは雨の音を聞きながら無心になっていた。

そんな中でゴズだけが会話を続けて情報を集めていた。



「ところで、この村って他にも人がいますよね?」

「(アクマじゃなければ、の話だけど)」

「え、ええ、もちろんです」

「よかったー村に入っても誰にも会わないし、人の気配もないから心配しちゃいましたよ」

「レティシア、ゴズ、行くぞ。他の家もまわってみる」

「あら、こんななのに?」



レティシアがドアを少し開ける。
すると土砂降りの雨が少しだけ家の中に入り込んできた。
少ししかドアを開けていないのに、かなりの雨が降りこんでくることから相当な雨の強さだろう。

さすがの神田でもこの中を調査するのは躊躇われる。



「お客さん、もう夜だし、この雨だ。
明日にしたらどうです?お連れさんの顔色もよくないし」



神田はまずレティシアの顔を見る。

いつもどおり。どちらかというと顔色のいい方だ。

次にゴズの顔を見ると確かに真っ青だった。



「お客さん方、今日はどちらかへお泊まりですか?」

「いや。何も決めてないですけど」

「こんな村、宿屋もないんですよ。
たまに客人をお泊めすることもあるんで、もしよろしければウチの二階に泊まりませんか。一部屋空いてますので」

「ここはご好意に甘えときましょうか」



ね、ユウちゃんっと同意を求めると神田が小さくうなずいた。


「じゃあ、よろしくお願いします」


- 28 -

*前次#


ページ:


back
ALICE+