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やっと小屋から出ることができると、ゴズが深呼吸した。
レティシアもずっと息を止めていたので新鮮な空気を吸おうと大きく息をつく。
「うわーっ!ようやく普通に呼吸ができますねえ!」
「どういうことだ?」
「だってあの小屋、すごく臭かったじゃないですか。
何か腐ったみたいな匂いが充満してるし、埃っぽいし。
1日こもっていたら、病気になりそうですよ」
「まあな…」
「確かに。私一生あそこに入りたくないわ」
もう入る必要もないのでしょうけど…
その言葉は心の中だけにとどめておく。
すると神田はレティシアとゴズに背を向けて歩き始めた。
すかさずゴズは神田の背に「どこに行くんですか?」と尋ねると「店に戻る」と一言。
どうやら神田も「あの御方」の正体に気付いたようだ、とレティシアは小さく笑った。
そのまま三人で歩いていくと、落ちていたゼリービーンズが目に入る。
「…そう言えば、お前は気づいたらあの小屋にいたって言ってたな?」
「はい、そうですけど」
「ということは、ゼリービーンズは目印じゃなかったのか?」
「ゼリービーンズ?」
「(やっぱり偶然だったのね…)」
「オレとレティシアはお前が落としたゼリービーンズを辿ってここに来たんだ。
オレに知らせるために落としたんじゃなかったのか?」
「いいえ?あ、ほんとだ。落ちてますね。ポケットに入れてたからこぼれてたんですね、きっと!
そうかーそれで神田さん達があの小屋まで来てくれたんですね。うおお、ラッキー!」
「ユウちゃんの今の心情を代弁してあげようか?
『少しでも感心した俺が馬鹿だった、この能天気馬鹿め』でしょ?」
もちろん神田のマネをしながら。
顔の表情、声の低さ、トーン、すべてを似るように声を出した。
真似をされて怒らない神田じゃない。思いっきり眉を顰め、レティシアをぎろりと睨んだ。
「似てねぇぞ」
「うそ、すっごく似てたでしょ?声の低さとか抑揚とか完璧じゃない!」
「…言ってろ」
「わぁおユウちゃんノリ悪いわ!こんな時だからこそ、冗談を言わなきゃなのよ?」
こんな時。
つまりはアクマとの戦闘がおきる前ということだ。
まだゴズは気づいていない。―*真の黒幕が、誰なのか。
「…お前だけだろ、それ」
「あら失礼」
肩をすくめて息をつく。
でもレティシアは人の気配がしない理由をわかっていた。
冗談を言いつつ周りに気を配る。
いつ、あの御方とやらが襲ってくるかわからないから。
「(ユウちゃんもきっと気づいてるんだと思うけど)」
そう思いながらレティシアは神田の横顔を眺めた。
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