少しぬかるんだ道を進み、神田達は雑貨店の前に立つ。
ドアをあけるとソフィアが飛び出してきた。



「どうしたんですか?起きたら父も三人方もいないから心配してたんですよ!」

「ソフィア、話がある」

「(ユウちゃんなら単刀直入に言うでしょ)」


レティシアはいつでも戦闘態勢に入れるようにする。
…といいつつ壁によりかかっているが。



「あの小屋はなんだ?」

「小屋?」

「村はずれにある小屋だ」

「ああ…『魔女の小屋』ですね」

「あそこにこいつが監禁されていたんだ」

「なんですって?」

「(あらあら女優ね)」


大げさに驚くソフィアにレティシアはふぅっと息をつく。
しかしさっきより目線が鋭くなっていた。


「そんな…監禁なんて!いったい誰が!?」


ソフィアが大声を上げたときレティシアは壁から身を離した。
小さく、つまらないとばかりにため息をつきながら。



「はぁ…もう回りくどい。ソフィア、あなたが真の黒幕、アクマね?」

「…アクマ?なんですか?」

「もう演技しなくてもいいのよ、ソフィア。いえアンジェラ、かしら?」



ゴズが驚きで目を見開き、神田は「いつの間に名前まで」と目を細める。

ソフィアはすぐに反論もせずに少しうつむく。
そして呟くように低く「…いつわかった?」と問いかけた。
そんなソフィアに対してレティシアは当然とばかりに「最初から違和感があったの」と髪をかき上げた。



「あなたを最初に見たときから微かだけど殺気が感じられた。
その時はまだアクマだと確信をもてずにいたんだけど…あの小屋に行ってはっきりとわかったわ。
私たちが泊まっていた部屋…あれはアンジェラの部屋ね?」

「そうよ。私の部屋。くくっ…あはははは!!」



急に笑い声をあげるソフィア。
神田は六幻に手をかけ、ゴズはまだ意味がわからなくてただぼぉっとしている。
受け入れられないのだろう。先ほどまで親しく話していた少女が醜く笑うのだから。



「まさかこんなにも早くバレるとはね!!」

「あなたレベル2程度でしょ?相手にならないわ」



壁を背につけたままレティシアが軽くあしらうと癇に障ったのかぎろりと睨む。

さきほどまでの青色の目ではない。
怒りと、憎しみと、悲しみと、殺しへの快楽が入り交じった目。



「なら試してみるまでよ!!」



ソフィア、いやアンジェラの顔が変わっていく。

醜くも哀しい、アクマの姿へと……



「あんた達が私の手下を倒したのね。
伯爵さまが言ってた、エクソシストってやつなんでしょう?
ふふ、聖職者(クラーヂマン)か。いいわね、神の使徒。相手にとって不足はないわ!」

「私にはあるわ。というわけでユウちゃんよろしくね」


ニコッと神田に笑いかけると、神田はぎろっと睨む。
その迫力は某兎君なら「怖いさぁ…!!」と背筋を凍らせるほどのものだったが、如何せん相手はあのレティシア。
そんな睨みもさらりとかわして笑顔を崩すことはない。



「お前がやれ!!今日一度も発動させてねぇだろ!」

「あら知ってたの。でもレベル2じゃ運動にもならないんだもの」

「ならいいだろ、お前やれ!」

「え〜…本音言っていい?めんどくさい」

「てめっ!それでもエクソシストか!?」

「エクソシストですー」


茶化したようにクスリと笑う。
だが聞いていればレベル2を雑魚呼ばわり。

その会話にアンジェラが怒らないはずがなかった。
自分を目の前で侮辱されているのと同じなのだから。


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