「…ユウちゃん怪我」

「かすり傷だ」



そうは言うが斬られたところが熱く、ぜいぜいと息切れを起こす。
しかし足はしっかりとレベル2のアクマ、アンジェラへ向かった。

大量の出血。
いや、だいたいは返り血だが胸部の傷が痛むのも事実。



「…さすがね、エクソシスト。でも私にかなうかしら?」

「ほざけ」



不敵な笑みを浮かべながら神田が六幻を構えた瞬間、ふぅっと体が浮く。

浮いたかと思えば真っ白な空間が広がる。…いや、正確には神田にだけ広がっているように見えた。



「(…アンジェラの能力か?)」



現実には神田がぼぉっとしているようにしか見えなかった。
レティシアはすぐに神田の様子が変わったことに気づき、声をかけた。



「ユウちゃん?どうしたの?」

「ふふっ無駄よ。彼は今夢の中。いえ…永遠の眠りにつくのだから」

「あら、そんなこと私がさせるとでも?」

「ふふっならあなたも眠りに…、…っ!?」



アンジェラは能力を使おうとするが凄まじく大きな力にはじかれる。

今までこんなことは一度もなかった。どうして。
そう驚いているとレティシアがあぁっと納得したように口元をゆがめた。



「あなたの能力は私の記憶をよみとること、ね。
でもそれは許されないわ。ただのレベル2が見られるような記憶じゃないの」

「お、お前は一体…!?」



初めてアンジェラの顔に恐怖の色が浮かび上がる。
そんなアンジェラに対してレティシアはただ笑うだけ。



「私?ただのエクソシスト。
そう、ただの、、、、ね。
さてと。このままユウちゃんを眠らせたままにしとくわけにはいかないのよねぇ」

「無駄よ。この眠りは一生覚めない。いえ一生醒めたくないはず」

「さぁ…?どうでしょうね?」


レティシアはにやりと笑うと神田と向き合う。


「ユウちゃん!ユウちゃん!聞こえてる?」


反応はない。
でもこれはレティシアの予想内。


「起きなさい―*!!この…っ

蕎麦馬鹿―――!!!

「蕎麦を馬鹿にすんじゃねぇ――――!!!」



神田は一気に空間を薙ぎ払った。
蕎麦を馬鹿にされた屈辱を相手に返すように。


「ぎゃああっ!」


レティシアはあははーっ!と大爆笑。
アンジェラは術を破られた痛みなのか悲鳴を上げた。


「レティシア!てめぇ蕎麦を馬鹿にしやがったな!?」

「違うわよ。蕎麦じゃなくてユウちゃんに馬鹿って言ったの」

「…オレは馬鹿じゃねぇ」

「珍しくユウちゃんが六幻を抜かなかったわ!これって奇跡じゃない?」

「てめぇ…っやっぱ斬る!!」

「あはは〜!ユウちゃんてば単純〜」


さっきまでのシリアスな空気は一体どこにいったのやら。
漫才のようだったがアンジェラにしてはそれどころではなかった。


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