「コムイー来たわよー」



ノックもほどほどに(してないともいう)レティシアは入っていく。

しかしコムイは今大爆睡中。ただ「来たよ」と声をかけても起きるわけがなかった。
爆睡しているコムイに気付くと「寝てるし」とレティシアは苦笑すると涼やかな、鈴が鳴るような可愛い声が奥から聞こえてきた。



「ごめんなさい、レティシア」

「リナ!おはよう」

「おはよう。神田もおはよう」

「……」



いつも通り返事をしない神田に二人で苦笑する。
もちろん神田の不器用な性格を知っているので二人とも何も言わないが。

リナリーとレティシアが少し話していると、コンコンっとノックされアレンとリーバーが入ってきた。



「リーバー、コムイ寝てるわよ」

「またか…」

「ぐ―――――――」

「室長!コムイ室長!」



少し…いや結構強めにゆさぶってみるが反応無し。というかまだ爆睡中。
リーバーは日頃のストレスを発散するために殴ってみた。やはり結構強めに。



「ンゴ―――――――」

「殴っても起きないとはね。なら殴って殴って殴ってみれば起きるんじゃない?」

「物騒よ、レティシア…」

「冗談だから」



満面の笑顔で語尾にハートが付きそうな口調だがレティシアならやりかねないと神田とリーバーは少しだけ引いていた。
アレンはすごい性格だと心の中で呟く。口に出せばどうなるかわからないからだ。短い時間でレティシアの性格をよくわかっている。

こんな話をしていても爆睡しているコムイに、リーバーは仕方なく最終手段を使うことにした。



「リナリーちゃんが結婚するってさー」

「リナリィィィィ―――――!!!
お兄ちゃんに黙って結婚なんてヒドイよぉ―――!!!」


「このシスコン―」


まったく、と変わらないシスコンぶりにレティシアは楽しそうに笑う。
もちろんアレンと神田は唖然、というかあまりのシスコンぶりにひいてる。
当の本人であるリナリーは恥ずかしがるしかない。

泣きじゃくっているコムイに誰も嘘だと伝えることなく、リーバーは冷静に三人に伝えた。



「悪いな。このネタでしか起きねぇんだ、この人」


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