「で。何の用だ。イタ電なら切るぞコラ」

「切っちゃえ。仕事をさぼるためにかけてきたんだから」

『ぎゃ―――ちょっとリーバーくん聞いた!?今の辛辣な言葉』

『は?』

『違いますぅー次の任務のことなんだけど…』

「あ、私もユウちゃんと行くー」

『ホント?』



神田の受話器を無理矢理奪う。
神田はもう用はないのか、取られても何も言わなかった。

レティシアはやっぱり引きずられながらコムイと悠長に電話する。



「えぇ。やっぱりね、ちょっとまずいかも」

『まずいって、』

「…もう言う時期なのかしら。


ノアが、出現したわ」

『!ノアってまさか…』

「そう。最悪の事態よ。詳しいことはブックマンに聞いて。
今後は単独任務を極力なくし、ペアかトリオくらいで行動させるべきだわ」

『…わかりました』

「それで?ユウちゃんと私はどこに行けばいいのー?」


さっきまでの真剣な声から一転ふざけたような声に変わった。
まるで先ほどまでの空気をなくすかのように。

このへんはコムイと同じようなものを感じられる。



『イノセンスの回収じゃないよ。アクマの破壊のみなんだけど…』

「あら、つまらない。ユウちゃん、アクマの破壊だけだってー」



神田に聞こえるように少し大きな声で言うと、どこだ?と返ってきた。
急だ、とか、文句を言わないあたり、まじめな神田らしい。

神田の代わりにレティシアが電話口で任務地はどこか聞くとコムイはフランスです、と返した。



『ラビもフランスにいると思うんですが…少し遠いので会わないと思います』

「そう。ラビットもフランスにいるのね。わかったわ」

『よろしくお願いします』

「じゃあね〜コムイ。仕事がんばるのよ!」

『えー……』

「子どもねぇ。相変わらず」


えーって何よ、えーって。
確かに書類整理はすごくつまらないだろうけど……

実験をしている方が楽しいもの!

だからって仮にも黒の教団の室長が仕事するのを嫌って言うなんて……
本心ではないとわかっていても、苦笑を禁じ得ない。

小さく苦笑していると神田に受話器を奪い返されてしまった。



「また連絡する」



それだけ言って切ってしまった。


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