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そのまま引きずられていくとアレンがうずくまっているのが見えた。
レティシアは落ち込んでるのかしらと目を細めた。
「何寝てんだ。しっかり見張ってろ」
「寝てるわけないでしょ。ユウちゃんのバカー」
アレンは声の持ち主を見上げることなく顔を伏せたまま。
声だけで分かる。このコンビ。
「あれ…?全治5ヶ月の人がなんでこんな所にいるんですか?」
「治った」
「うそでしょ…」
「うるせェ」
「嘘つけるほどユウちゃんは頭よくないよ、モヤシくん」
「アレンです…」
「お前ちょっと黙ってろ。話が進まねぇ」
「はぁい」
返事とともに肩をすくめて、どこかをぼぉっと見つめ始めた。
そんなレティシアの様子を神田は一瞥したが、とりあえずコムイの伝言を伝える。
「…コムイからの伝言だ。
オレとレティシアはこのまま次の任務に行く。
お前は本部にイノセンスを届けろ」
「……わかりました」
最初はあんなにくってかかってきたのに。
元気のないアレンに神田は少しアレンの方を見た。
「辛いなら人形止めてこい。あれはもう『ララ』じゃないんだろ」
「ふたりの約束なんですよ。
人形(ララ)を壊すのはグゾルさんじゃないとダメなんです」
「甘いな、お前は。
オレ達は『破壊者』だ。
『救済者』じゃないんだぜ」
「…、…わかってますよ。でも僕は…」
一陣の風が吹き抜けた。
途切れる、美しい旋律に乗せられた子守唄。
レティシアはアレンと神田が洞窟に入っていくのがわかったが、ぼぉっとマテールの地を見つめた。
「(…ティキ…)」
今でも思い出せる、あの人(ティキ)の顔。
いつもだらしなさげで、クルクルな髪をいつもボサボサにして。
いくら煙草を私の前で吸わないでって言っても染みついた匂いが消えなかった。
なのに香水をつけてて、変なビン底メガネをかけてて。
でも誰よりも優しくてかっこよかった。
これが恋かと聞かれたら困る。
好きだった?ティキが。
…わからない。でも守りたいとは思った。
一緒にいて安心できた?
できた。
でも…ユウちゃんと一緒にいても同じくらい安心できるの……
なら神田ユウが好きなの?
…わからない。
でもずっと一緒にいたいって思った。
それは恋じゃないの?
…わからない。
でもどうしても優しいところや温かいところが似てるって思った。
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