「私は…中立者……」


ぽつりと呟いた言葉。

忘れてはいけない。
私は本来、いてはいけない存在。

干渉してはいけない。
常に中立に、ただこの世界を破滅させないようにするためにいるだけの存在。

だから…人を好きになってはいけない。

それは自分が傷つくだけ……



「おい」



テノールの声が聞こえてきて、レティシアはゆっくりと神田を見上げた。

自分の気持ちはまだわからない。
でも、…私は今、ここにいる。やるべきことを、果たすために。
ならば、自分の気持ちを知ることよりもやるべきことを果たすことに集中しよう。



「…行くぞ」

「えぇ」



新たな決意をもって立ち上がり、神田の後について行く。

まるでレティシアの決意を応援するかのように、ふわりと風が舞った。



『愛してる、レティシア』

「…っ!!」



ハッと息を飲んで、足を止めるとすぐにふり返った。

今…ティキの声が聞こえた気がした……


でもだれもいない。
あるのは静かなマテールの地が佇んでいるだけ。

…気のせい、よね。
ティキがこんなところにいるわけない。



「どうした?」



急に足を止めたレティシアに気づいたのか、神田も足を止め振り向いている。

レティシアは神田を見つめ、ゆっくりと首をふった。



「なんでもないわ」



再び歩き出すとレティシアの後ろには白のティキの姿。
ティキはレティシアの背を見つめながら煙草に火をつける。



「…必ず、迎えに行くからな」



オレはずっとずっと…お前を捜してた。
まさかエクソシストだったとは……

でもオレはお前のこと……



「『愛してる』」


煙草の煙だけが残り、マテールの地には誰もいなくなった――*


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