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「ただいま、コムイ!」
「おかえりなさい、レティシア」
「そんなにかしこまらなくてもいいわよ」
ニコッと笑って言うとコムイも微笑み返す。
あぁ、懐かしいなとしみじみとした表情になるコムイに、レティシアも包み込むような笑みを浮かべた。
「相変わらずだね」
「当たり前じゃない。簡単に性格なんて変わらないわ」
「…でもいきなり帰って来るなんて…」
一番驚いているのはそこだ。
たまに連絡が入っていたのでクロスほどはなかったがレティシアはかれこれ十年教団に帰っていなかった。
だからリーバーも神田もラビも当然レティシアを知らない。
しかも今、レティシアは団服を着ていないのだ。
何か理由があるはず。
そう身構えていたのだが、理由はコムイが思っているより簡単なものだった。
「ビックリさせたくて」
「…え?」
思わず聞き返してしまった。
しかしレティシアはにっこり笑って繰り返す。
「コムイをビックリさせたかったの!」と。
その答えに思わずコムイはがっくりと肩を落として苦笑を漏らした。
「そんな理由で帰ってきたの?」
「えぇ。あと、団服よろしくね。途中でなくしちゃったから」
団服ではなかったのは、ただ単になくしてしまったらしい。
深い理由がなくてよかったと思うべきなのか、なくすなと怒るべきなのか。
結局レティシアらしいという言葉でくくることにして、わかったと頷いた。
「普通のエクソシストの団服で作ってね」
「…どうして?」
「だってバレたらみんなコムイみたいに敬語使うんだもの」
「…あなたっていう人は…」
あっけらかんと言うレティシアにコムイは再び苦笑した。
本当に不思議な人だ。地位に縛られず、どこまでも気さくな性格。
明るくて、楽観的そうに見えながら実は周りに気を遣っていたり、深く考えていたりするのだ。
どこまでも敵わないとコムイは少しだけ眩しそうに目を細めた。
レティシアは「じゃ、よろしくね」と手を振って笑いながら部屋を出て行ったのだった。
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