ガコォンと重々しい音を立てて舟が岸による。
アレンとトマは舟を括りつけると、教団の水路に足をつけた。



「だいぶ遅くなっちゃいましたね〜」



ふぁぁっとあくびをしながらアレンはトマに話しかけた。
今は大の大人でも寝ているような時間。

顔が隠れているので表情は見えないが、トマは小さく苦笑した。



「この嵐で汽車が遅れましたから…」

「もう真夜中だなあ…回収したイノセンスはどうしたらいいのかな」

「科学班の方なら誰か起きてらっしゃると思いますよ」


死にそうになりながらだと思いますけど。


「じゃあ行ってみま「モヤシくん―――!!」

「え゛っ!?」


い、今の声は…まさか……


「ただいま―――!」



ふわりと団服を踊らせて水路に着地した。
さらりとプラチナブロンドをなびかせてレティシアはにっこりと笑う。



「モヤシくんたちと一緒に帰れたわね!」

「レティシア!?なんで!?任務に行ったんじゃ!?」

「それがねぇ聞いて。ユウちゃんがどじって任務地を…」

「話を捏造すんじゃねぇよ」

「ゲッ!神田」



顔を盛大に引きつらせるアレンを無視し、神田はレティシアにチョップをくらわせる。
レティシアはあまりの痛さに盛大に顔をしかめた。



「いたっ!痛いわ、ユウちゃん!何するの!?」

「危ねぇだろうが!!モヤシを見た途端舟から飛び出しやがって!!」

「二人してモヤシ、モヤシ言わないでください!」

「何?ユウちゃんジェラシィ?」

「んなワケねぇだろうが!」

「あの、ふたりとも僕の話聞いてます?」


ずぅぅんっと落ち込むアレンをトマが必死で慰めていた。
トマは苦労性です。

そして神田はというと図星だったり。
自分をおいて、アレンを見た瞬間飛び出していったレティシアにアレンを優先されたようで…このへんが、ムカムカした。

(人はそれを嫉妬と呼ぶけど)
(この時の神田はまだ、その感情に気づいてない)



「大丈夫よ!ユウちゃんが心配することはないわ…」

「…人の話聞いてねぇだろ」

「あなたもでしょ…」


アレンがつっこんだが神田は思いっきり無視。


「私はモヤシくんをとったりしないから!
そんなにモヤシくんのことが好きだったのねユウちゃん」

「「なっ!?」」

「てめっ!?どういう思考回路持ってたらそうなんだよ!」

「そっそうですよ!やめてください!」


鳥肌が出てきましたよ!!
というか僕はそんな趣味はありません!!
もし、絶対ないですけどあったと仮定しても神田だけはお断りです!


「こういう思考回路ですけど、何か?」

「その思考回路オレがすっぱり斬って綺麗に洗ってやるよ」

「キャーユウちゃんに殺されるー」

「かなり棒読みですね…」

「あは、やっぱり?」



あははーっと笑いながら階段を上ろうとする。
いつもの鬼ごっこのように神田がその後を追っていこうとするとレティシアが急に足を止めた。


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