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〜〜数年前〜〜
「こんばんは、千年伯爵。お初にお目にかかりますわね」
粉雪が白い肌にとけ込んでいく。
白銀の雪にプラチナブロンドが映えた。
対称的な黒のコートをはためかせて、彼女はひらりと舞い降りてくる。
この場に不似合いな笑みが……
今でも心の奥に残っている―――
アレンが初めて対アクマ武器を発動させた。
皮肉なことに自分の大切な人を最初に破壊して。
しかしそれさえも今のアレンには分からない。
伯爵が消える瞬間に躍り出たレティシア。
ニコリともふわりと微笑んだともいえる笑みを浮かべ、伯爵を真っ直ぐ見つめた。
「こんばんは、千年伯爵。お初にお目にかかりますわね」
「!vあなたはまさカ…v」
「えぇ。あなたの予想通りよ」
「そうですカvいえまさかこんな美しい方が…v」
「誉め言葉として素直に受け取っておくわ」
「本音なんですけどネェ…v」
フフッvと笑う千年伯爵にレティシアも笑みを浮かべたが、ふとした瞬間に笑みを消した。
「…伯爵、あなたは……この世界を破滅へ導くことをやめないのかしら?」
「フフッv愚問ですネv」
「そうね…とりあえず今日は見逃しましょうか。今戦ってもいいことはなさそうだし」
レティシアがちらりとアレンの方を見る。
ふたりが話している間にアクマを破壊してしまったようで、人形のように涙を流し続けていた。
そんなアレンの様子にレティシアが目線を落とすと伯爵がフフッvと笑みをたたえる。
「オヤv随分と優しいのですネv」
「優しいのではないわ。…ただ、今は巻き込みたくないだけよ」
「そうですカvでは天使様、また次の機会ニv」
「その時はあなたの命日だと思うけどね」
フッと消えた伯爵。レティシアはその残像を見つめるだけ。
「…いいのか?」
「えぇ。今は、いいの」
レティシアは振り向かずにそう答えた。
わかっていたから。
誰が声をかけてきたかなんて……
クロスは涙を流し続けるアレンの前に座り込んだ。
「破壊するしか救う手は無い」
「アクマに内蔵された魂に自由はない。
永遠に拘束され、伯爵の兵器(オモチャ)になるだけ」
「生まれながらに対アクマ武器を宿した人間か…数奇な運命だな。
お前もまた神に取り憑かれた使徒のようだ」
「それがあなたの幸せだとは限らないけど…」
「エクソシストにならないか?」
差し出された手は大きくてアレンは思わず手をとっていた――――
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