「へっくしょい!!」

「これは何?」



リナリーの手には一枚の紙。
「アレンくん!」と少しとがめるようにリナリーはアレンの名前を呼んだ。

レティシアはリナリーの持っている紙をのぞき込む。



「あはは〜これは傑作かも」

「…すみません…」



―*カラン、カラン
遠くで店員が「いらっしゃいませー」と愛想よく言う声が聞こえる。

ここは、ある街の小さな喫茶店。
一つのテーブルにリナリーとレティシア、そして鼻をすするアレンが座っていた。
しかし、リナリーの表情はにこやかとは遠い。少しだけ不機嫌そうだった。



「すみませんじゃない。どうして見失っちゃったの」

「すごく逃げ足の早くて…この人。でもホラ似顔絵!こんな顔でしたよ」

「似顔絵…?」

「あれ…?」



首を傾げられて、アレンは微かに冷や汗をかく。

お世辞にも似顔絵には見えない。
絵と認めたとしてもこれはピカソ並みの絵に相当するだろう。…ピカソのように芸術性はないが。

そしてリナリーの後ろの後ろの後ろくらいにこそこそしている女性。



「(しょ、しょっ少年…だわ。し、白い髪。なんて変なの。どこの国の子かしら)」



本人が聞いたら真っ先に白髪じゃありません!と否定したことだろう。
そんな怪しい女性に気付かずアレンはリナリーに変ですか?と聞いている。

もちろんリナリーの返事はうん。変…とはっきり答えた。



「でもこんなことなら二手に分かれずに一緒に調査すればよかったね。
昨夜退治したアクマ…確かにその人に『イノセンス』って言ったの?」

「はい」



店員によって運ばれてきた食事を勢いよく食べ始めるアレン。
レティシアはやっぱりサラダを咀嚼している。
リナリーが大人なのかアレンが子どもかは定かではないが、リナリーはコーヒーしか頼んでいない。

神田がいれば即答で「モヤシがガキなだけだ」と言っただろう。



「道に迷って路地に入り込んだら偶然見つけて…運がよかったです。
たぶん今回の核心の人物だと思いますよ」

「アレンくん、今度から絶対一緒に調査しよう。見失ったのも迷ったからでしょ」

「さすがリナ。わかってるわねぇ」


ケラケラ笑ってるレティシアをアレンはあえて無視。


「…リナリーの方はどうでした?」

「んー…コムイ兄さんの推測はアタリみたい」



リナリーが言うにはこの街に入った後、すぐに城門にひき返して街の外に出ようとしたんだけど、どういうワケか気づくと街の中に戻ってしまうらしい。
ちなみに街を囲む城壁も何ヵ所か壊して出られないか確かめたけどダメだったようだ。
穴から外に出たと思ったら街の中のもとの場所に戻されてた。

難しい顔をするリナリーにアレンも少しだけ眉を顰めた。



「あ、それじゃやっぱり…」

「私達この街に閉じ込められて出られないってこと。…イノセンスの奇怪を解かない限りね」



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