「…なんかコムイさん、元気無かったですよね」



この任務を任される前に説明してくれたコムイとリーバーの様子を思い出す。
アレンの言葉にティムと遊んでいたリナリーが少し顔を暗くした。



「なんか兄さん…色々心配してて働き詰めみたい」

「心配?リナリーの?」

「それも一理あるわね」

「伯爵の!」



ポコッとアレンの描いた似顔絵を丸めてかるく叩いた。
レティシアは軽く肩をすくめてミニトマトを口の中に放り込んだ。



「最近伯爵の動向がまったくつかめなくなったらしいの。
『なんだか嵐の前の静けさみたいで気持ち悪い』ってピリピリしてるのよ」

「伯爵が…」



アレンは食べている手を一瞬とめ、顔を上げる。
―――と、リナリーの後ろにいるフランケンのような女の人が、オバケもしくは幽霊のごとくストールを泥棒のように頭から被せこちらを食い入るように見ていることに気が付く。

その本物のホラーのような場面に思わずアレンはフォークを落としてしまった。
突然固まり、フォークを落としたアレンに何も知らないリナリーは「アレンくんフォーク落ちたよ」と不思議そうに言う。

レティシアは、ん〜?と二個目のトマトを食べながら首をかしげた。



「あああ!!」

「はっ!」


思わずフォークを落としたことも忘れ、その女の人を指さす。


「この人です!リナリー!レティシア!!」

「…っ、エクソ…シスト…?」

「はい…てか何で逃げるんですか。しかも窓から…」


一般人もびっくりの速さで窓から逃走しようとした女の人をアレンが辛うじてスカートの裾を掴み、捕獲した。
その速さがレティシアにとっては面白く、息をきらしたアレンと女性を見ながら笑いをかみ殺していた。



「ごめんなさい。何か条件反射で…」

「(条件反射で窓から逃げるって…)」

「反射条件〜?すごい反射条件ねぇ」


改めて、テーブルに座り直し、自己紹介。


「わ、私はミランダ・ロットー。
うれしいわ。この街の異常に気づいた人に会えて……
誰に話してもバカにされるだけでホントもう自殺したいくらい辛かったの。
あ、でもウンコはよけられるようになったんだけどね」


ウフフフ…とクマのできた顔で笑われると誰もが思うだろう。


「「(この人だいぶキテるっぽい…)」」

「あらあら。すでにノイローゼ」

「シッ!レティシア言っちゃダメよ!」


一応リナリーがいさめたが、ミランダには聞こえてなかったようだ。


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