「…スゴイ」

「スゴイわねぇ」

「リナリー!リナリー!見てくださいよコレ!」

「おもしろすぎるわよー」

「時計人間!」



じゃーん!と手をのばしているアレン。
ミランダの時計からただ顔と手しかでていない。
傍から見れば、まさに「人間時計」

時計の中に入ったような格好のアレンにもちろん二人は絶叫。



「何やってんのアレンくん!?どうなってるのコレ!?」

「ギャアアア!私の時計―――!!」

「ははっ!予想通りの反応ね!」

「そうですね。この時計触れないんですよ。今ちょっと試しに触ろうとしたら、ホラ」



アレンが手をいれるがなぜか手が返ってきている。
アレンがそういう腕をしているわけではない。というか不可能だろう。



「わっ!すり抜けた…!?」

「どうやらこの時計に触れるのは持ち主のミランダさんだけみたいです」

「あら、私も触れるわよ」

「「え!?」」

「ホラ」



ピタッとレティシアが時計に触る。
アレンと違って通り抜けずに本当に触っている。
この現象にリナリーは小さく首を傾げた。



「どういうこと?」

「(あ〜…)……さぁ?」



理由はちゃんとわかっているのだが、話すには自分が秘密にしていることまで話さないといけなくなる。
それは困ると結論づけたのか、レティシアは手っ取り早くわからないふりをした。

レティシアの奇妙な間は気になるが今は奇怪のことだとアレンとリナリーは仮説を立てる。



「さっきの『時間の巻き戻し』といい、これといい。やっぱりイノセンスに間違いなさそうですね」

「ほ、本当なの?この時計が街をおかしくしてるだなんて…」


ミランダの中で計算が行われた。

この時計が原因+街を正常にしなければならない=時計を壊す!!



「ま、まさか壊すとか…?私の友を…」



ミランダにとってこの時計は特別なものなのだろう。

壊されるのではないかと考えたとたんに、どこからか包丁を取り出してくる。
その気迫にアレンもリナリーもちょっと引いてしまった。



「「落ち着いて」」

「そうよ。決めつけはよくないわ」

「でもミランダ、あなた本当に心当たりないの?
時計がこうなったのは何か原因があるハズだわ。
思い出してみて。本当の10月9日だった日のこと」



何度も来た10月9日。
ミランダは微かに覚えている記憶をたぐり寄せる。

そう、あの日は……100回目の失業をした日。
(100、と回数を聞いたとき、その回数の多さに三人は顔をひきつらせたが)
さすがに失業回数も3ケタになると感傷もひとしおで…やけ酒を飲みに飲んでいた。



「もういや、もういやぁぁぁ…毎日毎日イヤなことばかり。
前向き?ふふ…何それ。なんかもぉ人生どうでもいいわ……


明日なんか来なくていい」


その瞬間、ちょうど時計は十二時を指した……








二人一緒にミランダを指さした。
レティシアはあるんじゃない、と肩をすくめる。


「…それじゃないの…?」


ていうかそれしかないじゃん……


「え…?」

「イノセンスがミランダさんの願望を叶えちゃったんですよ」

「そ、そんな私はただ、愚痴ってただけで…大体何で時計がそんなことするの!?」



ミランダの問いに、レティシアが少し肩をすくめる。当然、というように笑って。


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