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俯いていると神田は再び小さな舌打ちをするとぶっきらぼうに手を差し出す。
え、と再び顔をあげると神田はぷいっと横を向いているが「ん」と明らかに手を掴むように手を差し出している。
これは、掴んでいいのかしら、と姫が考え込んでいると神田はじれったくなったのか、姫の腕を掴んでその体を立ち上がらせていた。
「…危ないから送る」
「え、で、でもそこまで迷惑かけるわけには、」
「また絡まれた方が迷惑だ」
「…う…」
言い返す言葉もありません。
「ほら、行くぞ」
「はい。…っ」
「…?」
歩き始めた神田に合わせて歩き出したが、小さな痛みを感じて思わず立ち止まる。
どうした?と心配する神田にまさかこれ以上迷惑をかけられなくて姫は黙り込む。
神田は視線を下に移すとその場にしゃがみ込んだ。
「神田さん、」
「ひねってんのか」
優しく足を持ち上げられて具合を見られる。
どうやら少し腫れているらしく、暗闇でも赤くなっているのがわかった。
歩けそうか?と聞かれて「ごめんなさい」と呟く。
これではまた舌打ちされそうだ、と落ち込んでいると神田は「乗れ」と背中を向ける。
まさかこれはおんぶしてくれるって、こと…!?
かぁぁっと顔が熱くなって思わず固まっているとじれったくなったのか、神田が再び「乗れ」と声をかけてきた。
このまま神田を待たせるのも申し訳なくておずおずとその背中に体を預ける。
神田は軽々と立ち上がるとそのままいつもと同じ速度で歩き始める。
「…いつも、この時間に帰ってんのか」
「え…いえ、今日はたまたま遅くなってしまって…」
「そうか」
「神田さん、…助けてくださって…本当にありがとうございます」
「気にしなくていい」
言葉一つ一つは短くでぶっきらぼうだけど、とても温かい。
怒ってくれたのも自分を心配してくれたからこそだと姫はわかっていた。
ありがとうございます、と心の中でもう一度心を込めて呟き、温かな背中に寄り添った。
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