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しばらくして、剣心は綺麗な女の人を連れて帰ってきた。
白梅香の香りのする、何処か哀しく美しい人。

その人は巴さんといってどうやら剣心が斬っているところを見てしまって気絶したらしい。

私はあまり話すことがなかったんだけど、剣心はよく話すみたいだった。

女将さんに菖蒲の花を頼んでいたので台所へ行くとちょうど菖蒲を巴さんが持っていた。




「女将さん、この菖蒲は…」

「ごめんなさい巴さん、私が頼んだんです」

「あら、姫先生」




わざわざ来はったんですか?
と女将さんにびっくりされて「えぇ」と曖昧に頷く。

巴さんは恐らくここに住み込んでいる医者であることは知っていたのだろう。
「そうだったんですね」と言って巴さんは私に菖蒲を手渡してくれた。


…あぁ、この人はなんて、




「菖蒲が似合う…」

「え…?」

「あ…!」




私馬鹿!思わず声に出てた!

びっくりしたように目を丸くする巴さんに私がわたわたしてしまう。
…あーもう、もうちょっと考えて声に出そう。
とりあえず別に悪い意味じゃないから(というか誉めてる)言ってもいいかな?




「あの…菖蒲の花がよく合う方だなって思って…」

「私が、ですか?」

「えぇ、どこか気品があるところとか…ってすいません、私何言ってるんだか」

「…いえ」




菖蒲、ありがとうございます。

何だか恥ずかしかったからそう頭を下げてその場を立ち去る。
…巴さんが戸惑ったように俯いたことも知らず。


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