23
京都に戻ると沖田が養生している場所を探し出す。
やはり新撰組の組長の居場所を知るのは容易くなく、少し骨がおれたが見つけ出すことができた。
屋敷には無断で忍び込み、沖田のいる部屋を探す。
一体どこに…そう焦りだした頃、日当たりのいい縁側にぼんやりと座ったーーー沖田の姿が。
痩せてる…前より、一層。
その事実が胸を締め付けて、何だか話しかけることができなかった。
「…っ、ごほっ、げほっげほっ!」
「…!沖田、」
「……えっ…」
思わず、呼んでいた。
その声が聞こえないはずなくて、沖田の視線が私に向かう。
沖田は信じられない、とばかりに私を凝視したが、ふっ、と小さく嬉しそうな笑みを溢した。
「お迎えが仏様じゃなくて沙梛さんだなんて嬉しいなぁ」
「馬鹿、私もあなたもまだ死んでないわよ」
「…あれ?沙梛さん…生きてるんですか?」
「ふふっ…当たり前でしょ」
「…っ、沙梛さん…!」
何処からそんな力が出たのか沖田は私の腕を引っ張って私の体を腕の中に閉じ込める。
ぎゅ、っと抱き締める力は強くて、何処か赤子を連想させた。
まるで離すことを怖がっているように……
「…何処にいたんですか?志士の間では沙梛さんは亡くなったって…」
「……ずっと、旅にね。でも、志士である沙梛が死んだのは本当よ。
私は…志士をやめて、今は医者だから」
「医者に…?」
うん、まぁ秘密ね。
そう笑うと何故か沖田は顔を伏せた。
どうしたのだろう…何か気になるけど……
「…沙梛さん…医者としてでいいので……僕の側にいてくれませんか?」
「…沖田…」
お願いです……
そう震える声で言われて、私はそっとその背中に手を回すことしかできなかった。
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