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賑やかな人通りから少し離れた通り道。
少しだけ暗く感じるその通りの小さな長屋に私はいた。
どうやら噂は本当らしく、私の知り合いの情報屋は煙管をふかしながら教えてくれた。
しかも新種の阿片を作り出しているとか……
「まぁでも、今は中断しているだろうねぇ」
「どうして?」
「新型を作り出してる女が逃げたって話さ。観柳はそいつを執拗に追いかけているようだが……
…さて、女が死ぬのが先か、観柳に捕まるのが先か…どちらにしたって地獄だねぇ」
「女の名前は?」
「……高荷、とか言ったかな」
「高荷!?」
聞き覚えのある名前に思わず身を乗り出していた。
高荷…女といっていたから、彼の娘だろうか。
会津戦争で行方がわからなくなっていたと聞いていたが、まさかこんなところで……
でも、あの高荷が麻薬を作っていた?医学に対してあれほどにも情熱のある家の娘が。
…高荷の偽者なのだろうか。それとも特別な理由でもあるのだろうか。
「ーーー聞いてみないとわからない、か」
「他に質問があるのかい?」
「今、その女の居場所って知ってる?」
「あぁ……確か、神谷、とかいう道場に囲われてるとか」
「わかったわ、ありがとう」
「いんや…姐さんにはいつも世話になってんだから、これくらいわけないよ」
ふぅ、ともう一服したのを見届けると私は小さな長屋から出る。
どうやら私が直接会って確かめないといけないことができたらしい。
道場にいるからといって安全ではない。
情報屋によれば観柳は隠密を雇っているようだし、見つかって一般人に被害が及ぶのも時間の問題だ。
いや…麻薬が売買されている時点で、もう手遅れか。
「…直接神谷道場にいった方がよさそうね」
くるり、と踵を返して神谷道場に向かう。
ーーーそこに再会が待っているとは思いもよらず……
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