「そういえば剣心くんは幾つなの?」

「…14」

「え、同じ年!?」




何時ものようにお団子を頼んでそれを食べながら色々と聞いていく。
それにしたってまさか同じ年だとは思わなかった。
12くらいかと思って、完全に年下扱いしてた。
…なんて言ったら恐らく怒る気がするので言わないけど。

一方、剣心もまさか同じ年とは思ってなかったようで驚きで目を丸くしていた。




「じゃあくん、なんてつけなくてもいいね。これから剣心って呼ぼうっと」

「それは構わないが」

「やった!じゃあ、剣心。剣心の流派は?父がとても美しい技を使うと仰っていたの」

「飛天御剣流という古流剣術だ」

「飛天御剣流…」




美しい名だと思った。

殺人剣であるにも関わらず、誇り高く、美しい響きをもっている、と。
きっと彼の剣技も名前と違わず美しいのだろう。
人が斬られるのを見るのはあまり好きではないが、早く剣心が刀を振っている姿が見たいな……




「あ、そうだ。夜は私のことを沙梛って呼んでね」

「…偽名か?」

「そう。医者である姫が…夜の姿と一緒の名前じゃ不味いでしょ?」




―――人斬り。人の命を奪う者。
人の命を救うはずの医者が故意に奪っているなど知れたら大変なことになる。

あぁ、と頷く剣心に小さく笑うとお団子を一つ頬張る。
あーもう本当美味しい!
仄かな甘味がくせになってしまいそう。

もぐもぐと食べていると剣心が何か聞きたそうな顔をして私を見ているのに気づく。

何?と短く問いかけると剣心は何処か聞きづらそうな顔をするから安心させるように小さく笑いかけた。




「…何故、医者を?」

「………元々、医者の家系でね」




飲んでいたお茶を置いて昔に思いを馳せる。

あれは、数年前……


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