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道場に帰ってきた瞬間感じた異様な雰囲気に慌てて道場に入れば、…息が止まるかと思った。
目に入ったのは、倒れている姫と、血だらけの左之。
どうして…っなぜ、姫が倒れて…ッ!!!
「姫!!!左之!!」
姫の体を抱き上げると苦しそうなうめき声をあげる。
意識がある、と慌てて彼女の名前を呼び続けると、姫はうっすらと目を開けた。
「剣、心…」
「よかった…っ姫…!」
「…っ剣心……、…っそうだ、左之助が…!!」
「…!左之…!」
慌てて左之助の方を見ると恵殿が青ざめた顔で左之助の体を治療していた。
お腹を押さえながらも姫は起き上がると、すぐに左之助に駆け寄る。
「酷い傷…!姫先生、一体何があったんですか!?とりあえず止血を…!」
「手伝いますっ…とにかく部屋を移しましょう。剣心、手伝って」
「あ、あぁ。…だが、姫は大丈夫でござるか?寝ていた方が、」
「患者を目の前にして寝てられないわよ」
小さく笑って立ち上がると左之助を別室まで運ぶ。
刀傷は見慣れているはずなのに、友人の手当てとなると手が少しだけ震えた。
…このまま、左之助を失うわけにはいかない。
幸い、臓器は傷ついていないようで、刀傷を縫合するため恵さんと協力して行っていく。
その晩は寝ずに手術をし、…次の日、道場で考えこむ剣心のところへ行った。
「剣心」
「…姫」
「もう、気付いているんでしょう。…誰が来たか」
「新選組三番隊組長、斎藤…」
「ご明察」
「着かなかった決着をつけに来たか…それとも、別の目的か…」
「…わからないけど…剣心に会いに来たようだった」
その一言に剣心は黙り込んだが、私はそれ以上何も言わずに道場を出る。
斎藤は一体何を目的に来たのか……私にもわからない。
だけど、…許せない。
左之助を傷つけたこと。
…沖田のことを持ち出したこと。
そして、私たちの平穏を崩したことを。
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