―――あの夜から私の中で新撰組は“会いたくない集団”の第一位になった。
何故なら新撰組と鉢会うとき必ずと言っていいほど沖田総司と斎藤一(時々何故か土方もいる。副長なのだから見回りとか来ないと思っていた)がいるからだ。
沖田は何故か「会えて嬉しい」とか「今日も綺麗ですね」とかひたすら意味のわからないことを言うし、斎藤はそんな沖田を見ながら何故か楽しそうだ。
もう意味がわからなすぎて逆に怖い。てか面倒。

大体剣心と別行動のときに会うから謀ってるんじゃないかと疑いたくなる。


今日は剣心と一緒の任務で同志の護衛だから大丈夫だと思うけど……




「…何で会うかなぁ…」

「僕は会えて嬉しいですよ、沙梛さん」




本当に嬉しそうに笑う沖田とは逆に私はため息をつくと剣心から怪訝そうな目線をもらってしまった。
あぁもう剣心、やめてよ。私だってできることなら彼奴の口を縫ってやりたいくらいなんだから。

とりあえず刀を抜いて構えるがあちらが本気で私を斬ろうと思ってないことは百も承知なので本当に形だけ。
そしてあちらも形だけ刀を抜いて間合いを開けていた。




「沙梛さん、もしかして隣の人は最近有名な人斬り抜刀斎ですか?」

「そうよ」

「…へぇ…彼が…」

「沖田くん、君は沙梛さんを。私が抜刀斎の相手をしますから」

「沙梛、」

「大丈夫。それより、貴方の方が気をつけてね。…斎藤は、中々厄介な相手だから」




牙突―――土方歳三が考案した片手平突きをさらに昇華した技。
彼、斎藤が得意としている技であり、その威力は一撃必殺と言っていいだろう。

鋭い眼光の彼に目を向けると彼は不敵の笑みを浮かべたのだった。

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