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あれから数日…兵団はとても忙しいことがわかった。

特にエルヴィン団長。外部との連絡が常に行われいる。
…つまり、兵団にいる時間が短いということだ。

そうなると短い時間でエルヴィンさんの意見や許可をもらわないといけない。
貰えなかったとき、どうなるのか。

それは全て……


「リヴァイさん」

「…またか」

「はい、申し訳ありません…」


寄越せ、言われてその書類を全て渡す。

エルヴィンさんがいないときはリヴァイさんが全て処理している。
こうしているとリヴァイさんが処理している書類の数の方が多いのではないかと思うほど。

一つずつ目を通していくリヴァイさんに説明を付け加えていく。

わかった、許可する、それはエルヴィンに聞け、と的確に処理していく。


さすがだ。

かなりの量の書類が片付けられた。



「…時間はあるか?」

「え?あ、はい。これで大分終わりました」

「茶を淹れる。付き合え」


私が淹れます、と言ったが「使い勝手がわからんだろ」と言われて大人しく座る。
すぐに淹れられた紅茶はとても香りがいい。
いい茶葉だということがすぐにわかった。



「紅茶、お好きなんですか?」

「…あぁ」

「とてもいい香りですね」


おいしいです、と伝えた途端、

「うまい、」

という声が頭に響く。


…こ、れは…リヴァイ、さん…?

あれ?でも、何で、リヴァイさんの幼い頃…知らないはずなのに、



「…どうした?」

「あ…いえ…何だか、懐かしくなった、というか…おかしいですよね」


苦笑して、誤魔化すようにもう一口紅茶を飲む。

そんな不審な私をリヴァイさんはどこか悲しげに…切なそうに見つめる。



ーーまただ。

また、リヴァイさんは、見たことない目で、私を見つめる。

いや、私じゃない。私を通して…"誰か"を見ている。


もしかして、"フィリー"…?

初めて会ったときに、呼んでいた名前。


その人を、あなたは見つめているんですか…?

その人は、あなたの側にいないのですか?


私は………



その人の、代わりですか?


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