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書類に書き込んでいる姿に目を向けて、…小さく息をつく。
エミリオ・レビリオン。
彼女の名前。
…フィリーと、そっくりな女。
だが、フィリーの名前を聞いても彼女は何の反応も示さなかった。
もし、フィリーならオレに気づいたはず。…それに、その名前に何らかの反応を見せたはずだ。
だから、違う。
こいつはフィリーじゃない。
わかっている、はずなのに……心が、ざわつく。
「リヴァイさん」
「リヴァイ」
あぁ、何故、彼女は、
「…リヴァイさん?」
「……、…悪い、何だ?」
「…。…この作戦なのですが、」
エミリオに質問されたことに答えていく。
…その間も、フィリーと話しているように錯覚しそうで恐ろしかった。
「…とりあえず終わったな」
「はい。あ、お茶、淹れますね」
「頼む」
隣の給湯室に入っていくエミリオを見送って、凝った肩を少し解す。
…さすがに疲れたな……一度体を動かしに、
「やっほー!リヴァイ!」
「死んで赤ん坊からやり直せ」
「ひど!!」
「ノックくらいしたらどうだ変人」
「あぁ!忘れてたよ!…ん?何かいい匂い…」
「あ、ハンジさん。いらっしゃってたんですね」
「エミリオー!君がお茶を淹れてたんだ!いい匂いだと思ったよ!」
「てめぇの分はない」
「ええ!?そんな!!」
「ふふ、大丈夫です。こちらをどうぞ」
「待て。それはお前のカップだろ。こいつに使わせるな」
「え!?リヴァイの部屋にエミリオのカップもあるの!?」
チ、余計なことを言ってしまった。
オレの部屋は基本的に他人の物は置かせない。…そのはずなのに、エミリオがいつもここにいて、毎回客人用のカップを使うのも馬鹿らしいからカップを置くようにしたのだが……
そんな事情を知らないエミリオは小さく首を傾げていた。
「いつもここにいるので…リヴァイさんが私用のカップを用意してくださったんです」
「ええええ!!リヴァイが!?」
「はい、優しい方ですよね」
「いやいやいやリヴァイは、「うるせぇ黙れくそがさっさと飲め」
客人用を取り出してそのカップに注ぐとそのカップを押し付ける。
…これ以上は地雷だ。
爆発する前に黙らせるに限る。
「はい、リヴァイさん」
「…あぁ」
オレの分を手渡されて、温かさが手に伝わる。
…ざわついた心が、少しだけ落ち着いた気がした。
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