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あれと、この資料も必要か、と考えながら資料をまとめていく。
その後ろから、リヴァイさんが近づき…何故か腕を掴まれていた。
「…っ、リヴァイさん…?」
「…、…お前は、ミケを…」
「え…?」
「…お前は、」
本当に、オレのことを知らないのか…?
そう苦々しく…苦しそうに呟かれた言葉に息が止まる。
それと同時に沸き上がったのは、悲しみ。
どうして…どうして、私を見てくれないのですかっ…
私は、エミリオで、私は…!!!
「…っ、あなたは、一体…誰の面影を探しているんですか」
「…ッ!!」
「それほどに…私は、その人に似ていますか?…フィリーさんに」
その名前に、リヴァイさんは目を見開く。
いけない。これ以上言ってはいけない。
そう思っても言葉を止めることはできなかった。
「…っ私に優しくしてくれるのは、フィリーさんに、似ているからですか?
でも…でも、私は…その人とは、別人です」
「…っ、もういい黙れ!!」
初めて出された怒鳴り声に思わずリヴァイさんの顔を見つめる。
ーー泣きそうだ、と思った。
リヴァイさんの顔は今まで見たことないほど…泣きそうで、辛そうだった。
「自惚れんな。優しくなんかしてねぇし…っお前なんか…!」
押さえつけていた私の腕を荒々しく振り払って、私に背を向ける。
…その背は、明らかに私の存在を否定していた。
「…資料は揃った。後は自分で調べる」
バタン、と扉が閉められる。
それと同時に崩れ落ちる体。
私は…私は、誰なの…!?
リヴァイさんが探している人なわけ、ないよね…っ?
どれだけ私が似ていても、…どんなになりたくても、リヴァイさんが好きな"フィリーさん"には、なれない…!
「…っ、フィリーさんになりたい、だなんて…愚かよね…っ」
リヴァイさんの優しさに…こんなにも、惹かれていたなんて……
気づきたくなかった…知りたくなかったよ……
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