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傷つけてしまった。

短い間だったが、エミリオがどれだけ調査兵団のことを考えて行動してきたのか知っていた。
いつも自分たちを心配して、暖かい言葉をたくさんかけてくれていた……

だが、エミリオが未練なく調査兵団から離れさせるにはこれしかなかった。


「…すまない、エミリオ…っ」


許してくれ、とは言わない。
だが、…これ以上調査兵団に関わることなく、…俺たちが死んでも心を痛めることなく、笑顔で過ごしてくれ……

君には一番、笑顔が似合っているから……



ーーコンコン


「エルヴィン、リヴァイだ」

「…っ、入れ」



一つ息をついて気持ちを整えると前をしっかり見つめる。

リヴァイは書類を何枚か手に入ってくると何かを探すように目線を動かした。
…その仕草に、再び胸が痛んだ。


「…エミリオの姿が見えないが…またハンジのところか?」

「……辞めさせた」

「…あ?」

「エミリオは調査兵団を辞めさせた。もう、来ることは、」


ない、という前にリヴァイに胸ぐらを掴まれ、壁に叩きつけられる。
目の前のリヴァイは、今にも殺しそうな目で睨んでいた。



「どういうことだ、エルヴィン!説明しろ!!」

「…そのままの意味だ。エミリオは調査兵団を辞めさせた。…これ以上いればエミリオは確実に傷つく。傷口が小さいうちに、」

「押し付けてんじゃねぇよ!!エミリオがそう言ったのか!?違ぇだろが!…っくそ!!」


荒々しく体を突き放すと、リヴァイは俺に背を向ける。

リヴァイ!と呼び止めようとしたが、「やめろと言われてもやめん」と言い放って部屋を出ていく。



「…羨ましい、な」


真っ直ぐに向き合えることが。

何のしがらみもなく行動できることが。


…エミリオを、引き止められることが。



「…知らぬ間に、俺は…」


自分の気持ちにふ、と自嘲して、窓の外を見つめたのだった。


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