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「ねぇ、エミリオには付き合ってる人とかいないの?」



ブッ、と勢いよくリヴァイやエルヴィン、何故かミケまで飲み物を吹き出す。
汚いよ、と笑うハンジに三人が恨めしそうに睨んだのは仕方がない。

聞かれた本人は三人を心配しつつも困ったように曖昧に笑った。



「いません。…そのような出会いに恵まれていなかったのもありますが…」

「えー?でも貴族のお嬢様なんだからパーティーとかで出会うでしょ」


ハンジの疑問にリヴァイは自然と力が入ったのがわかった。
しかし、エミリオは曖昧な笑みを崩さなかった。



「パーティーで口説かれたことはありますが…特に、」

「えぇ!?口説かれた!?何て言われたの!?」

「…えっと…」

「オレも是非聞きてぇな」

「私も興味ある」

「えぇ!?あの…」


突然真剣に聞き始めたリヴァイとエルヴィンにエミリオは困惑する。

お酒が入っているとはいえ、ここまで追及されるとは思わなかったのだ。



「今夜、私の部屋に来ませんか?とか…」

「へぇ!結構直接的なんだね!」

「初対面の方にそう言われても嬉しくないですよ」

「初対面じゃなきゃいいのか?」

「え?」



リヴァイの言葉にキョトンとしていると、リヴァイはエミリオの体を引き寄せる。

驚きで固まるエミリオの耳元に唇を寄せた。



「今夜、オレの部屋に来ないか?」

「…っ…」

「こらこら!それセクハラだから!」


それはもう盛大に。
顔を真っ赤にさせたエミリオ。

リヴァイは何でもないような顔をしていたが、実はかなり心臓は高鳴っていた。

…結構本気だったんだけどな、なんて心の中で呟きながら。



「エミリオ、壁外調査に行くときは君は領地に戻ってくれるか?」

「え…でも、その間、調査兵団は…?」

「留守番組に任せて差し支えない」

「…わかりました」

「その代わり、帰ってきたら我々を笑顔で迎えてくれるか?」



エミリオの顔が曇ったことを察したのだろう。
エルヴィンは優しい笑みを浮かべてエミリオにそう伝えた。
エミリオはエルヴィンの言葉に少しだけ目を丸くすると…幸せそうな笑みを浮かべた。



「はい。もちろんです」

「…期待してる」



ここにいてもいい。
一緒に壁外に行けなくても、役割はあるのだと言ってくれたようで、エミリオは嬉しかった。



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