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壁外調査は予定で3日間。

その間、エルヴィンさんに言われたように領地でたまった仕事をこなしていた。
久しぶりに領地を見に行こうかしら、と思っていると、カランカラン!と鐘の音が聞こえてくる。

ーー調査兵団が帰って来た合図。


ありえない、と慌てて立ち上がる。

調査兵団は昨日出発したばかりだ。
帰ってくるには2日も早い。

…何かあったとしか思えない。

急いで準備すると、馬に乗って調査兵団へと向かう。
その途中、調査兵団一行に会い、民衆と一緒にその姿を見る。


ーー酷い。


1日で一体何が起こったのか。

みんなどこかしら怪我をしていて、…人数も明らかに減っていた。


…っ、リヴァイさんは…ミケさんに、ハンジさんに、エルヴィンさん、優しくしてくれた班員の方々は、

必死に探していると「エミリオ!」と呼ばれ、咄嗟に顔をあげる。



「…っ、ミケさん…!」

「迎えに来てくれたのか」

「はい…!あの、みなさんは、」

「あぁ、班長は大体無事だ。…リヴァイもな」

「っ、大体…」

「部下を庇ったりしてな。…リヴァイたちは報告のため先に戻ってる。迎えに行ってやってくれ」

「はい!あの、ミケさん…ミケさんも無事で、よかった…」


ふわり、と笑いかけるとミケさんは少しだけ息を飲んだように見えたが、ありがとう、と笑ってくれた。

私は急いで調査兵団へ行くと、リヴァイさんとエルヴィンさんを見つける。
リヴァイさん!エルヴィンさん!と声をかけると、二人は振り返って、…何故か少しだけ焦ったような表情を見せる。

何故?と首を傾げると同時に、エルヴィンさんが駆け寄ってきた。



「エミリオ、何故ここに」

「…調査兵団が帰って来たと聞いて…いてもたってもいられずに…」

「…そうか…そうだよな。…エミリオ、すまないが、しばらくはここに来ないようにしてくれるか」

「え…?」

「少々厄介なことになった。…だから、」


「エミリオ・レビリオン様」



突如、介入された声。

ハッとしてその声の方へ目を向けると、そこには憲兵団の人たちが立っていた。

憲兵団が何故、と眉をひそめると、胡散臭い笑みを浮かべたまま、憲兵は私に話しかけた。


「あなたに伺いたいことがあります。ご同行いただけますか?」

「…聞きたいこと…?今ここで聞けばよろしいのでは?」

「ほう…では、はっきりと申し上げましょう。
あなたには巨人と通じた嫌疑がかかっている」


ついてきてもらおう。

そう言って憲兵団は私の腕を掴んだ。

私が巨人と通じた?一体どうしたらそんなことに、

混乱する私に対してリヴァイさんは「待て!まだ決まったわけでは、」と引き留める。
だけど、憲兵はリヴァイさんの手を振り払い「貴様も連行するぞ」と睨んだ。

…っ、いけない、このままではリヴァイさんも、エルヴィンさんも巻き込んでしまう…!
何故こんなことになったかはわからないが、私が貴族である以上下手な真似はできないはず。

私が、ここで大人しくすれば…!


「やめてください!…っ着いていきます。ですから、やめてください」

「…いいでしょう。では、行きましょう」


大丈夫、という意味をこめて、リヴァイさんとエルヴィンさんに視線を送る。
リヴァイさんは最後まで「エミリオは関係ねぇ!」と言ってくれていたが、エルヴィンさんに押さえられていた。


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