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「さっさと話した方が賢明では?…レビリオン様」
「何も存じません」
一体何回目なんだろう。
それもわからないくらい、ずっと聞き続けられている。
憲兵団が言うには、今回の壁外調査において作戦が漏れていたのではないかと考えているらしい。
いつもならいないところに巨人がいて、多大な被害が出た、と。
そして今回の作戦において今までと違うところは私を秘書にしたことだけ。
秘書の私は班長との連絡役のため、作戦に関する書類も届けていた。
…中身を見ていたかどうかは別として。
私は秘書であって班長ではない。
だから作戦に関することは、全て封筒にいれて私にも見えないようにされていた。
私が知るはずがない。…のだが、憲兵にとって、それは信じられないらしい。
封筒の中は開けて見ることもできる、会話を聞いていたのではないか、などなど難癖をつけてくる。
はぁ、とため息をついたとき、…憲兵も小さくため息をつく。
「仕方ないな。貴族だから甘くしていたが…ここまで口を割らないのであれば拷問するしかあるまい」
「…は…」
「おい、ロープと、ナイフ、持ってこい」
拷、問…?まさか、この私に…?
ありえない、と固まっていると、憲兵はロープで私を縛り出した。
「…っ、こんなこと…許されるとでも!?私は、レビリオン家の跡取りですよ!」
「えぇ、仕方ありません。…人類のためですから」
にやり、と笑う憲兵。
…あぁ、この人たちは、狂っている。
憲兵はにやにやしながら、ナイフを私に翳す。
ペシペシ、とナイフで私の頬を叩くと、首筋にナイフが当てられた。
ギラリ、と光るナイフ。
「助けて…っ助けて!リヴァイ!!」
「フィリー!今行くっ!」
鈍く光るナイフ。
手を伸ばす、リヴァイ。
後ろから襲われる、私、
「…っいやあああああ!!!」
「…っ!?なんだ!?」
「いやっ!!いやあああ!!!!やめてっ!!頭がッ…!割れッ!!!いやあああ!!!!」
「おい!!っ、医者だ!医者を呼んでこい!」
刺された、衝撃、痛み、恐怖、…絶望、死。
…あぁ、これは…私、…幼い頃の、私。
あの時…私は、確かに、あの強盗に刺されて、
思い出した記憶に、薄れる意識。
その時ようやく…彼の名前を呼んでいた。
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