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変なやつだった。


3日前、ちょっと身なりのいい、ぼんやりとした女がいた。
その女は何かをじっと見ていたから、その隙に金を奪ってやろうと女にぶつかった。

その女は真っ直ぐではなく、横に倒れるように倒れた。

変な倒れ方だな、と思っていれば、その女が言うには「花を庇った」という。


わけがわからん。

花なんか庇って何になる?


…あぁ、そうか。この平和ボケした考え方……この女、地上のやつか。


女は俺から逃げるように去っていった。

だが、3日後…その女が、また、いた。


今日は親の近くから離れていないのか、店の近くでボールを上に投げながら鼻唄を歌っている。
…楽しそう、だな。地下街では絶対に見れない光景だ。



「あ!」

「…あ、」



ボールをキャッチし損ねて、手からこぼれ落ちる。
そのボールはコロコロと転がって、…俺の前まで転がってきた。

目が合う。



「あなた…この前の…」

「…何をしている」

「えっと…手遊び?…あ!」


何かを思いついたように女は嬉しそうに笑う。

…その屈託のない笑顔に、自然と胸が高鳴った。



「一緒に遊ぼう!」

「…は、」

「あ…もしかして忙しい?」


当たり前だ。お前みたいに暇じゃねぇ。

そう言いたかったが、しゅんとする女にぐっと言葉が飲み込まれる。



「………いや…」

「よかった!私、フィリー」

「…リヴァイだ」



思えば、この時からフィリーに惹かれていたのかもしれない。


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