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「あ!リヴァイー!こっちー!」
「…あぁ」
無邪気に手を振るフィリーに駆け寄る。
その間、フィリーは父親に「リヴァイと遊んで来るねー」と伝えていた。
もう何度目かわからないほど会っているからか、俺の噂を知っているからか、父親はちらりと俺を見ると「あまり遠くに行ってはいけないよ」と微笑んで頷く。
はーい、とフィリーは素直に頷くと俺に駆け寄ってきた。
「おはよ!リヴァイ。今日はどこに行くの?」
「…俺の気に入ってる場所だ」
「楽しみ!早く行こう」
手をとられ、引っ張るフィリーにふっ、と小さく笑うと手を繋ぎ直す。
地下街では浮いているフィリーだ。時々、人拐いや変態野郎を蹴散らしながら(もちろんフィリーは気づいていない)俺の気に入ってる場所へと向かう。
「…ここだ」
「わぁ…!!きれい…!」
地下街の屋根に溢れ日が反射して、キラキラと輝くその光景にフィリーは驚きの声をあげる。
すごいすごい!と喜ぶフィリーに自然と顔が弛む。
こんなにも喜んでもらえるとは思っていなかったからだ。
「そんなに気に入ったのか?」
「うん!すごいよ!こんなに綺麗な場所、初めて!」
「…そうか」
星みたいだ、と言うフィリーに、少しだけ胸が傷んだ。
星、か…。オレは一度も見たことない。
地上に住む人間しか、見たことないもの。
フィリーもそのことに気づいたのか、少しだけ困ったような顔をする。
何でフィリーが困るんだよ、と何だかおかしくて石に座り込んでその隣をポンポンと叩く。
フィリーはおずおずと俺の隣に座った。
「…地上はどんなところだ?」
「……、昼と夜があってね。昼は太陽が昇って…暖かくて、日向ぼっこって言って太陽の光を浴びながらのんびりするの」
「のんきだな」
「ふふ!うん、お昼寝したら気持ちいいよー」
「腑抜けすぎだろ」
「うん、そうだよね。でも最高なの」
いつか一緒にしたいなぁ、と呟くフィリーに「…そうだな」と返す。
フィリーが言うように"日向ぼっこ"や"お昼寝"ができたらどんなに幸せか。
ずっと、フィリーと一緒に…地上で、暮らしたい。
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