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「女を殴るのは感心しない」
「りっ…リヴァイ兵士長…!!」
男の腕を掴み、私を庇うように立つ、リヴァイ。
失せろ、と低い声で言うだけで、男は一目散に逃げていった。…ついでに、怒られていた男の子も。
こんなところで会うなんて…いや、それよりもどんな顔をして会えばいい?
彼は私の幼馴染で…初恋の人。…それも最近思い出したことだ。
そして、今現在も…私が恋い焦がれていた人。
ーーだけど、もし、私の記憶が戻っていることを伝えれば…調査兵団を危険に晒すことになる。
…っ、ダメだ。
本当は、リヴァイって呼びたい。
私がフィリーだよ、と伝えたい…!
だけど、調査兵団を…リヴァイを危険に晒すなんて、
「…リヴァイ…さん」
「……、…怪我はないか?」
そんなこと、私にはできない…っ
「はい。…ありがとう、ございます…」
「…無事ならいい」
それは殴られそうになったから?
それとも…連行されたから?
どちらの意味もあるのだろう。…聞くまでもない。
「あの、」
「…こんなところで何してんだ?」
「え…あ、えっと…買い物、に、」
「…そうか。オレは掃除道具を購入しに来た」
「え?あ、あぁ…お好きですもんね、掃除…」
無類の綺麗好きは小さい頃からだった。
調査兵団にいるときも部下の人が何度も掃除のやり直しをさせられているところを見た。
(見た、のであってさせられていない。一応秘書という立場だし)
何を買われるんですか?
雑巾100枚だ。
え、そんなに?
毎日5枚は使うからな。
えええ…使い捨てですか。
当たり前だ。不衛生だろ。
まぁ…そうですね。うーん…。
何だその微妙な反応は。
いや…ほら、1日5枚なら20日しかもたないなと思って…
だから買いに来てる。
(…1ヶ月もたたずに雑巾購入に来てるのね…)
まぁこんな会話をしながら町を歩く。
不思議だ。もっとぎこちなくなるかと思ったが、あまり変わらない。
…やっぱり、リヴァイが相手だからだろうか。
「…いつも、あんな危ねぇことに首を突っ込んでんのか」
「え?」
「さっきのことだ。確かにアイツも大人げねぇが…一々首突っ込むのも、お節介だろ」
「…そう…ですね。お節介だったと思います。だけど…困っている子供を見捨てられないというか…」
「…まぁ、お前ならそうだろうな」
遠くを見つめる横顔に、…少しだけ悲しくなる。
リヴァイの隣にいるのは私なのに、リヴァイはきっと遠くにいると思っている私のことを思っている。
それがわからないほど、子供じゃない。
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