花びらが舞う頃

昼に近づいた頃、サンドイッチ作ってきたの！と言うフィリーに少しだけ黙りこむ。

「……食えんのか」

「酷い！」

「不器用そうだよな…」

「私を何だと思ってるの！」

もうあげない！１人で食べる！と怒るフィリーに苦笑する。

からかいすぎたか。

ここで機嫌を損ねられても困る。

「悪い。冗談だ」

「…ひどい」

「すまない」

「…でも本当においしいか、私も自信ない」

おずおずとフィリーはバスケットを差し出す。

ゆっくりと蓋を開けば、色とりどりのサンドイッチが入っていた。

…見た目は悪くない。

「食べていいか？」

「うん…」

卵サンドを一つ手にとると、一口食べる。
フィリーはその様子を不安そうに見つめていた。

…そんなに見つめられると逆にこっちが緊張するんだが……

そんなことを考えていると口の中に広がるちょうどいい塩加減。

「…悪くない」

「…！よかった…！私も食べてみよっと！」

「味見してねぇのか」

「うん、とりあえず？」

「（大雑把すぎるだろ…)」

これこそ言ったら拗ねる。
だから心の中に留めておくことにする。

自己完結しているとフィリーはうまそうにサンドイッチを頬張り、「おいしい！」と自画自賛していた。

ふにゃり、と嬉しそうに笑うフィリー。

…かわいい。

「我ながら上手にできてるー！」

「自分で言うのか」

「だって他に褒めてくれる人いないし」

「悪くねぇっつっただろうが」

「おいしいって言ってほしいんだけどなー」

無自覚だろう。

微かに上目遣いでおねだり（違う)するフィリーがかわいすぎて固まる。

うまい、最高だ、嫁になってくれ、と何度も心の中で叫んだが、現実のオレは何も言えねぇ。
…だが、何か伝えたいと、微かに口を動かした。

「うまい、」

「…っ！り、リヴァイが褒めてくれた…！！嬉しい…！」

噛み締めるように喜ぶフィリーを見ているとこちらまで嬉しくなる。

…次はお弁当作ってくるね、と言うフィリーに「楽しみにしている」と返したのだった。

そう。そんな簡単な約束さえ、躊躇いなくできたんだ。

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