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「エミリオに…そっくりなんだ…だから、」







その日も約束していた。

一緒に遊ぼうと。

だから、いつもの場所に行った。


…だけど、いなくて。

最初は待ったけど、来ないことに違和感を感じた。

いつもは時間より前に来ていた。…こんなに遅いなんてことはありえない。
なんだか嫌な予感がして、予感がする方へ走る。

微かに聞こえてくる怒号。悲鳴。…断末魔。


違う。関係ない。

こんなの地下街では日常茶飯事だ。

だから、違う…違うッ!!あれは、襲われているのは、フィリーの商団じゃない!!!違っ…!!



「助けて…っ助けて!リヴァイ!!」



その声にハッとして素早く視線を投げ掛ける。

そこには刀を持った男と…逃げている、フィリー。

カッと血が一気に頭に上り、体が熱くなった。
フィリーに手を出す奴は許さねぇ…絶対に…!!!



「フィリー!!」

「っ、リヴァイ!リヴァイ…リヴァイッ!」

「フィリー!今行くっ!」

「リヴァ…っ」



時が止まった気がした。

俺に向かって手を伸ばす、フィリー。
泣きそうで、恐怖に濡れていて、…俺を信じた、目。

その目が大きく見開かれて…フィリーの背中に突き立てられた、刀が見える。

ぐにゃり、とフィリーの表情が歪み、ゆらり、と体が崩れ落ちる。


逃げて。…リヴァイ。


微かに聞こえた、フィリーの声。

手を伸ばして、フィリーの手を掴もうとしたが、誰かに強く体を引っ張られてその場から遠ざかっていく。



「っ、ケニー!!何する離せッ!!」

「クソガキ。面倒に突っ込んで行くんじゃねぇよ」

「フィリーがっ…!!ケニー、助けてくれ!!フィリーが!」

「…手遅れだ」


助からねぇよ。

ケニーの言葉がずしり、と重く感じた。


…嘘だ。

フィリーが、死ぬなんて……



「っ…うわあああああ!!!!!」



もう、あの笑顔を見れないなんて……

もう、会えないなんて………

嘘だ…!!!!誰か、嘘だと言ってくれ…!!!










「何てことなの…!傷つけるなんて…」

「すいません、なんせ抵抗したもので…」

「あぁ、私たちのエミリオ…どうか、死なないで…」


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