Sneak



ーーープルルルル


何だかデジャブな電話の音にやはり無視しようかと受話器を睨み付ける。
しかし、いくら無視してもしつこく鳴り続ける電話にいい加減嫌気がさしてしょうがなく出てやった。




「もしもし」

「チャオ、アラウディ」

「…君、こっちの回線からかけてくるな、って何度言ったらわかるの」




細かいことは気にするな、と電話口でニヒルな笑みを浮かべているような声音で返してくる。

電話の相手はこれもまた最近会ったヒットマンで、時々情報がほしいと言ってくる奴だった。
こちらの回線は殆どプライベートな回線なので仕事のことは別回線なのだ。
何かの手違いで奴はこの電話番号を知って非常に迷惑なことにこちらに頻繁にかけてくる。




「頼みがある」

「…内容によるよ」

「明後日、カルカッソファミリーのパーティーがある。それに潜入してくれねぇか?」

「……カルカッソ、ね」




最近よくない噂を耳にするファミリーだ。
人身売買だの薬だの売春だの、黒い噂がちらほら見えてくる。
…てことはそれが事実なのか確かめてこいってこと?
いや、被害を確かめるのならもっと違う方法があるはずだ。
それこそ、パーティーなんかに潜入しなくたってわかることだし。




「何でもパーティーの裏で人身売買をしてるらしい。それが事実か確かめてほしいんだ」

「僕にメリットはないけど」

「だが、本当なら許せない事実だろう?」




確かに、許せない事実ではある。
しかしここで頷いてしまえば「じゃあ承諾してくれるな?」と奴の勝利と化してしまう。
それはとても面白くない。

…まぁ、心はもう決まってるんだけどね。




「じゃあ、事実と確認でき次第抹殺可能、って条件つきならいいよ」

「戦闘マニアらしい条件だな」




いいぞ、好きにして、という許可の声と共に電話を切る。
内線で任務が入ったことを伝えるために。

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