Sister
「やあ」
警戒心を滲ませながらもぺこり、と頭を下げる彼女。
恐らく警戒心がある相手にはスケッチブックを使わないのだろう。
真っ直ぐ見つめてくる彼女に僕も真っ直ぐ見つめかえしながら慎重に言葉を選んだ。
「君、ボンゴレの人間?」
「………」
「僕はアラウディ」
「……!」
名前を名乗ると彼女はハッとしたように僕を見ると近くに置いてあったスケッチブックを手にとった。
さらさらと何かをスケッチブックに書き込むとすぐに僕に見せてくれる。
“雲の守護者の?”
「…承諾した覚えはないけどね」
まさかそう言われるとは。
確かにジョットから誘いを受けているが彼女の中では雲の守護者になっていたのだろうか。…いや、恐らくジョットが「なった」と言ったのだろう。
奴の超直感上、僕が雲の守護者になることは確実らしい。そう考えたらむかつくけど。
僕の答えに何かを感じたのか彼女は小さく笑って先程までの警戒心はなかったように無防備な雰囲気を纏った。
“私はセリアと申します。ジョット…プリーモの妹です。”
「ジョットの?」
あまりにも予想外の関係に軽く目を丸くする。
まさかあのジョットの妹だったなんて……
ジョットは僕の探していた人が自分の妹だと知っていたのか?
いや、その可能性は皆無だ。
僕が探していたのは最近イタリアにいた女医。
確かに彼女も当てはまるが意外と自分の身近な者が探されていて、特徴を言われても「まさか」という深層心理から当て嵌めないという。
それにジョットのもうすぐ会える、というのは時期を直感していて、相手を直感したわけじゃない。
「ジョットに妹なんていたんだ」
“兄は過保護であまり私のことを外では話さないから、ご存知ないのは無理ありません。”
小さく苦笑するセリアになるほど、と軽く納得する。
恐らく彼女は戦闘経験皆無なのだろう。
彼女の手には銃や刀を扱う人間特有のたこなんてなく、むしろ怪我なんてしたことないんじゃないか、って思うくらい綺麗な手をしている。
マフィアのボスの妹が自分の身を自分で守れないほど弱ければ絶対にいることを悟らせないようにするだろう。
僕がジョットと同じ立場でもきっとジョットと同じようにしたはずだ。
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