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カキン!といい音を立ててボールが前に飛んでいく。
でも、そのボールは少しだけ真ん中から外れてしまったから、武は小さく舌打ちした。
それでも、ホームランには変わりない。




「ナイスバッティング!」

「美瑠!?」




20 山本トレーニング





「今日はどうしたんだ?」




ていうか私服?今日学校なのにどうしてだ?と内心首を傾げる声が聞こえて笑ってしまいそうになったけど、誤魔化すように「うん、ちょっとね」と返した。

それで納得してくれたのか、そっか、と言って笑っただけだった。




「おっちゃん今朝はこれくらいにしとくわ」

「なんだよ。もっと打ってきゃいーじゃねーか。どうせ学校じゃ寝てんだろ?」

「ちぇ。言ってくれるぜ。いつもの。あ、美瑠もなんか飲むか?」

「ううん。私はいいよ」




そんなに喉乾いていないから笑って断る。
それにしても、バッティングセンターのおじさんと本当に仲がいいんだね。
こんなに話すことができるんだもの。
武が人見知りしないっていうのもあると思うけど、武がここで頑張ってるっていうのがよく伝わってくる。




「しかしたいしたもんだな。
中坊のくせして130q/hの球ガンガンネットまで運んじまってさあ」

「私もすごいと思うよ」

「ハハハッまだまだだって。変化しねぇ球くらい全部狙った所に打たねーとさ」

「へっ!とんでもねーことを簡単に言ってのけやがって」

「そのためにもトレーニングをするぞ」




突然入ってきた声に武もおじさんも首をかしげる。
私はその声の正体を知っているから、その声の方に視線を向けた。




「ちゃおっ…ス…」

「お、小僧じゃねーか。つまり美瑠はこいつの付き添いな」

「うん。そういうこと」




苦笑しながら肯定すると鼻風船を作ってリボーンが寝てしまった。

もう!なんのために来たのよ、リボーン!
眠い気持ちはすごくわかるけど…!




「無理して起きてきたんだな」

「どこの赤ん坊だ!?」

「ハハハ!面白ぇ!!」

「そう思えるのは武だけだよ;」

「そーか?ま、とりあえずオレん家行くか」




そう言われてとりあえず寝ているリボーンを抱き上げて武の家に向かった。
その途中で多分リボーンを探しているであろう、ツナに連絡して。

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