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「そんじゃ始めっぞ」
「おしっ!今日は小僧にトレーナーまかすからな」
しっかり念入りにストレッチをする武。
完全に野球のトレーニングごっこだと思ってるよね……
でも、本当は違うんだけどね。
「さーて何すっか?」
「まずはピッチングだ。美瑠」
「はい!武、これ」
「あの柱の印の所めがけて投げてみろ」
「オッケー!ハハハかわいいボールだな」
「!ちゃんとした野球じゃん…」
武に渡したボールは普通のボールより一回り小さいもの。
これだけコンパクトにするのはすごく大変だったはず。
どうなるんだろう、とワクワクしながら武が投げるのを待った。
「いくぞ」
その声と同時に武の顔つきは本気モードになって、勢いよく振りかぶった。
ビュッとなげると途中でジャキンという音を立ててボールから刺が生える。
やった!成功じゃない?
そして、そのままボールは柱にぶつかって、粉々に砕いた。
その不自然さにツナは「なっ!」と驚き、武は何が起こったのかわからないのか「ん?」と首を傾げていた。
「こいつがボンゴレ企画開発部に発注していた岩をも砕く『投の武器』マイクロハンマーだ」
「すごいでしょ?私も手伝ったんだよ!」
「んな―っ!?おまえ山本に武器持たせよーとしてんの――!!?」
「くいっ」
「微妙な表情で表現するな!!」
わかるオレもオレだけどさ!と頭を抱えるツナ。
「つーか山本をお前らのそーゆーヘンテコな世界にひきずりこむなっていってんだろ!?」
「ヘンテコな世界じゃないよ…。私は今までずっとその世界で生きてきたんだもの…」
「おい、ツナ。美瑠を泣かせたな?死ね」
「美瑠ちゃん!?ご、ごめん!!そういうつもりで言ったんじゃ…!」
ツナが深い意味でそう言ったわけじゃないことくらい、わかっていた。
でも、近い友達にそう言われてしまって悲しかったのは、事実だった。
思わず涙がこみ上げたから、慌ててごしっと強く目をこするとツナが焦り始めるのがわかった。
ごめんね、ツナ。泣くつもりは全然なかったのに……
「ツナ、美瑠を泣かせることねーだろ」
「死んで償え」
「り、リボーン!そこまでしなくていいよっ!
ただ…自分を否定されたみたいで、ちょっとショックだっただけだから」
「ショックだったのか。やっぱりいっぺん死んでこい」
やっぱりツナに銃を向けるリボーンに大丈夫だよ、と笑ってリボーンを納得させる。
リボーンは本当、私にとって過保護すぎるお父さんみたい。
「(リボーン美瑠ちゃん溺愛してる――!!なんかヒバリさんが二人いるよ!!)」
「当たり前だ。美瑠はそれだけ大切な存在なんだからな」
「え!?リボーンってもしかして美瑠ちゃんのこと…!」
「勘違いすんな。そういう意味じゃねぇ」
「じゃあどういう…」
「ストップ!何も言わないで!それより武のトレーニングが途中だよっ!」
リボーンが私を溺愛している理由は私だって知っている。
これ以上はダメ。
私の秘密を知ることになる。
…それはまだツナにも武にも早い。
まだ…時期じゃない……
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