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「ホラ、行くよ」

「うんっ」




21 デートと宝物




朝、武のトレーニングしてたんだけど学校でしてたから恭弥に会ったんだ。

やっぱり学校大好きなんだね。
今日は開校記念日で休みなのにやっぱり学ランだったもの。

それで「僕に構って」発言でデートすることに。
うわー…いつもと違うから少し緊張するかも……




「恭弥、どこ行くの?」

「…お腹空かない?」

「あ…」




言われてみて時計を見るともうお昼だし、お腹も減っていた。
言われると余計自覚してお腹空いちゃったよ…

そんな私の心が読めてしまったのか、恭弥は少しだけ優しく笑った。




「僕の好きなお店あるからそこで食べるよ」

「うんっ!」




恭弥が好きなお店に行くの、初めて。
どんなところかな…すごく楽しみ!

そうして恭弥に連れられて商店街を歩いていくと、少し外れたところにおしゃれな煉瓦造りのお店が見える。




「ここ」

「うわぁ…すごくおしゃれだね」

「ここなら群れる人がいないから」




そういう理由なんだ…;
さすが群れてるのが嫌いな恭弥らしい答え。

そんな恭弥が可愛くて小さく笑う。

中に入ると外観とぴったりでモダンな雰囲気。
なんかお祖父さまのお気に入りのお店によく似てる……

懐かしい、のかな。

恭弥と一緒に適当な席に座るとメニューを渡された。




「何食べる?」

「恭弥がおいしいって思ってるのがいいな」

「……じゃグラタンでいい?」




ちらり、と上目づかいで見られて思わずきゅんとしてしまった。

グラタン!!??
グラタンってすごく可愛いんだけどっ!




「可愛くないから」

「あれ…?声に出てた?;」

「うん。思いっきり」




あらら;無意識に声に出してたんだ。

でも可愛いって思っちゃったんだもの。
恭弥がグラタン好きだなんて知らなかった。

可愛いと思われたのが恭弥にとってあまりよくなかったのか少し言い訳。




「ここのグラタンは僕も勧められて食べたんだ。僕、ハンバーグの方が好きだし」

「ハンバーグ好きだったの?意外…」

「和食も好きだけどね」

「じゃあ今度お弁当作るときは和食にするね」




恭弥の好みを知れて、少しだけ嬉しくなる。
こうやって恭弥のことどんどん知っていけたらいいな。

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