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「おはよう、リボーン、ツナ!」



玄関を開けてすぐに目にしたのは並中の制服を着た美瑠ちゃんの笑顔。






3 転入生って大変






今日は転校初日。

清々しい朝の空気を満喫しつつも昨日教えてもらったツナの家に着く。
一緒に登校したいなぁって思ってね。

いってきまーす!っていうツナの大きな声が聞こえて、すぐにドアが開いた。
私は壁から背を離し、一歩だけ前に出て「おはよう!」と挨拶する。
ツナは一瞬驚いたように目を丸くしたけど「おはよう美瑠ちゃん!」って笑ってくれた。




「ちゃおっス。制服似合ってるぞ」

「ありがとう」




ひらりと風でスカートがその存在を主張するようにはためく。
並中の制服は最近では珍しくないけど公立中には珍しいブレザー。
最初はここに来るまでずっとセーラー服だと思っていたからちょっとびっくりした。

でもすごく可愛い!

灰色のプリーツに柔らかい黒のニット、強調するようなリボン。
私服みたいに可愛い制服は私のお気に入りなんだ。

今日は隼人は一緒じゃないみたいで、三人並んで登校する。




「もうクラスわかってるの?」

「ううん、後で職員室に行って教えてもらうんだって」

「そっか」

「できればツナと同じクラスがいいな!」




やっぱり知ってる人がいる方がいいし……それに誰でもないツナがいるんだもの。
隼人と武も同じクラスって聞いたから、なおさら。

心の中で一緒のクラスであることを祈るとツナが少し頬を赤くして何かを考え込んでいた。



「(一緒のクラスがいいって深い意味じゃないよ、ね…?)まさか美瑠ちゃんって……」

「天然だぞ」

「だよな……って心読むなよ!」

「リボーンに心を読むなっていうほうが無理だよ」




よくわからないけれど、ツナはリボーンに心を読まれちゃったみたい。

リボーンの読心術は一級品だから……私も未だに心読まれたりしちゃう。
一生懸命心を読まれないように防ぐ訓練はしてるんだけどね。

もしかしたらリボーンの読心術防止は不可能かもしれない。
ただ口に出せないことを心の中で言っただけなのに。

なんてことを考えていたらあっという間に着いていた。




「…………」

「あ、今ならオレでも美瑠ちゃんの心が読める」




思わず固まっちゃったよ…!

校門の前についたと思ったら学ランの人たちがたくさん並んでいた。
一人、二人とかのレベルじゃなくて、10何人も!

あれ?ここって制服ブレザーだよね!?何で一部の人だけ学ランなの…!

しかも何か髪が横に長いよ!?もしかしてあれが噂のリーゼント…!?
…黒い、フランスパン………

呆然としているとツナが苦笑しながら小声で教えてくれた。




「あの人達は風紀委員の人たち。あんまり関わらないほうがいいよ」

「…えっと、ああいう人たちのことを不良っていうんだっけ?」

「ストレートすぎ」




苦笑しているツナの隣を見るとさっきまで歩いていたリボーンの姿がなかった。
元々気配がないからいなくなったことに全然気付かなかった。

いついなくなったんだろう…?私がリーゼントに見とれているときかな?

きっと赤ちゃんだから(それに殺し屋だしね!)学校に入れないんだよね。




「とにかく職員室に行ってくるね」

「うん!じゃ、またあとでね!」




うん、と頷いて校舎の中に入っていく。

なんだか鋭い、というより柔らかな視線を感じたんだけど……気のせいかな?

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