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「五万」
「(これ違法徴収じゃない…?)」
お昼に仕事の内容は一通り聞いていたが、恭弥がすると何故か脅しているようにしか見えない。
毎年恒例なのか恭弥が「五万」というと屋台主さんたちは怯えながらも五万円を払っていく。
…恭弥曰く、活動費らしいけれど……
なんだかどんどん申し訳なくなっていって、ほとんどのお店で「ごめんなさい、ありがとうございます」と伝えるようになっていった。
集めているとやはり初めて屋台を出した、というところもあって、五万円を払わないといけないことを知らない人もいる。
「ま、まってください。まだ用意できてなくて…」
「じゃ、屋台を潰す」
そう恭弥がいうのと同時に先輩達が屋台を潰し始めた。
それはもうぐちゃぐちゃに。
このままじゃ今日の屋台はできないくらいに。
店主さんが「やめてください!」と泣きながら縋るのを見ながら止めたい気持ちをぐっとこらえた。
可哀想だし、気の毒だけど、これは規則。
その規則違反に恭弥は正当な制裁を与えているだけなんだ。…少しやりすぎな気もするけれど。
ごめんなさい、と心の中だけで謝って次の屋台に行く恭弥の後を追いかけた。
「5万」
「ヒバリさん――!?」
「あ、ツナ!隼人に武も!」
「「「……」」」
知っている人に会えて思わずテンションが上がる。
笑顔で手を振ったのだが、三人とも何故か固まって何も言わないし動かない。
どうしたんだろう?と首を傾げると三人は後ろを向いてこそこそと話し始めた。
(あれ…美瑠ちゃんだよね?)
(美瑠ですよね…)
(美瑠………だよな?そうだよな?)
(((すっげー美人!!)))
「ツナ?武?隼人?」
「はっ!!あ、ごめんごめん!」
「(見とれたな。まぁ気持ちはわかるけど見とれていいのは僕だけだよ)」
「みんなお店出してたんだね」
思い出してみれば出店一覧に同じ名前の人がいたような気がする。
別人だと思っていたのだけれど…よくよく考えたら「沢田綱吉」なんて名前こんなに近くに二人もいるはずない。
それにしても三人で屋台をするなんて、楽しそう!
そういう意味合いも込めて言ったんだけれど、ツナの顔は少しだけ引きつっていた。
「ま、まぁ色々あって…」
「そうなんだ。…チョコバナナ、私も買っていい?」
「あ、おう!ちょっと待ってろ!」
私の注文に武はニカリと笑ってチョコバナナを作り始めてくれる。
おいしそうだなぁ……
そういえばチョコバナナって初めて食べる!
初めて食べるチョコバナナに期待で胸が膨らむ。
…のだけれど、何故か恭弥が不機嫌……
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