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その後、私はもっと情報がほしくて入院している先輩たちがいる病院を訪れていた。
並盛総合病院は大きな病院だからたくさんの人がいる中、看護婦さんに道を聞きながら病室に着くとコンコンと病室のドアをノックする。
病室のドアの前には恭弥が命令したのか私の同学年の風紀委員の人たちが見張りに立っていた。
厳重…とまではいかないけど他の患者さんがちょっと怖がっているみたい。
そんなに睨まなくてもいいのに、と苦笑していると中から「どうぞ」と声が聞こえる。
「失礼します」
「美瑠さん、よく委員長が来るの許しましたね」
驚きましたよ、と苦笑する先輩。
誰かのところにいくのに許可がいるのだろうか、と疑問に思いながらも「聞きたいことがあったので」と言いつつお見舞いの果物を机に置く。
傷の具合などを聞きながらもうすぐ退院できることを知って少しだけ安心した。
「それで、聞きたいことって何ですか?」
「黒曜中生以外の情報がほしいんです。何かありませんか?」
私の質問に先輩はそうだな…と考え込む。
その日のことを思い出しているのだろうか、少しだけ先輩は眉を顰めた。
そして、先輩が思い出したことを一つずつ口にしていく。
とても強い。
二人組。
一人は猫背。一人は男だがピンで前髪を留めていた。
「あとは…猫背の奴は確か…カキピー…だったか。
ピンの奴がケンと互いに呼び合ってた気がする……」
「…っ!?」
先輩の言葉に、私は驚愕のあまり声を出すことができなかった。
柿ピーに犬…?
まさか……ありえない……
彼らが日本にいるはずがない…!
そんな気持ちが強くて、でも、先輩の言葉を疑うこともできなくて、震える声でそっともう一度聞き返した。
「本当に…柿ピーと犬って言ってたんですか…?」
ドキドキと嫌な動悸がする……
先輩の勘違いと言ってほしい。そんな、薄い希望を持つ。
(祈るように、切に願った)
でも、そんな願いはあっさりと裏切られるのが常。
先輩は「あぁ」とはっきりと頷いた。
それに私の顔色が変わってしまったのが先輩にもわかったのだろう。
何かまずいことでもあるのか、と先輩も顔を曇らせた。
…私としたことが、こんな顔して先輩に心配をかけてしまうなんて。
何でもないです、と無理矢理笑顔を作った。
(それが、精一杯だった)
「それじゃあこれで帰らせていただきますね。
お大事に…しっかりご養生してくださいね」
「ありがとう…また来てください」
ペコリと頭をさげてゆっくりとドアをしめる。
そこから歩き出そうとしたけれど足に力が入らなくて、ずるずると引きずり落ちて俯く。
頭から離れない柿ピーと犬という名前。
もっと詳しく調べなければならない……
私の勘があたってしまうのかもしれないから……
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