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その日はとても綺麗な青空だった。
26 恋に落ちた瞬間
〜十数年前〜
「九代目の孫だからって調子に乗らないでくれる?」
「レオくんに色目つかってんじゃないわよ!」
いつの時代も女の嫉妬というものは醜いものですね。
容姿も整っていて優しく、頭もいい。
殺し屋としての才能も秀でていた美瑠はまさに完璧で当然そんな美瑠が好かれないわけがなく人気者でした。
でもその一方で妬む人間もいて、いじめの対象者でもあったんです。
当時の美瑠はただ耐えるしか対応方法を知らなかった。
だからいつも泣いていましたよ。
―――バキィィ!!
「キャアアア!」
「クフフフ、弱いですね…いや、弱い故にいじめるんでしょうね」
いじめていた女の子達を少し痛めつけてうずくまっている美瑠に手をさしのべる。
涙を目にいっぱいためて僕を見上げた美瑠に微笑みかけた。
「大丈夫ですか?」
「…だい、じょうぶ。ありがとう」
小さな手で何の躊躇いもなく僕の手を握る。
立ち上がるとホッとしたのか美瑠の目から涙があふれてきた。
その様子に少しだけ心を痛ませながらその美しい涙をできるだけ優しく拭う。
「泣かないでください」
「ごめん…っ私もなんで泣いてるのかよくわかんなくてっ…」
ぽろぽろと涙を流すその体を無意識のうちに抱きしめていた。
よしよしとあやすように頭を撫でる。
「安心してください。僕が守ってあげますから」
「……っ」
少し詰まったような泣き声が聞こえてくる。
でも確かに今までの痛みは流れていった……
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