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「よろしくね、骸」
「こちらこそ、美瑠」
可愛らしい笑顔に僕も笑顔で返すと美瑠も嬉しそうに笑う。
その笑顔に愛しさを募らせていると後ろから僕の名前が呼ばれる。
その声は聞きなれた声であり、美瑠との二人っきりの時間の終わりを意味していた。
少し…いや、かなり惜しくはあるが。
「骸さーん!…げ」
「骸様、ここに…」
いたんですね、と続くはずだったのだろう。
しかし、僕が誰かと一緒にいたからか、二人は僕と美瑠を凝視していた。
そんなに私が女の子といるのが珍しいですか?
いや…人間と一緒にいるのが珍しいですか?
しかし、すぐに我に返ったのか犬も千種もすぐに警戒心を露にする。
…仕方ないといえば仕方ないですね。僕たちは追われる身なのだから。
何も知らない美瑠は初対面の二人にこんなにも警戒されて、わけがわからずキョトンとしている。
当然の反応といえば当然だ。そんな三人の様子を見て、唯一現状のわかっている僕は小さく笑った。
「美瑠、二人は私の部下のようなものです」
「部下…そうなんだ?」
きっと同じ年頃の二人が友人ではなく、部下という立場だったことに違和感があるのだろう。
まだ不思議そうな顔をしている美瑠だったが、自分の周りのことを思い出したのかそういうこともあるのかもしれない、と一人で納得していた。
うんうん、と頷いていた美瑠を尻目に千種が僕に耳打ちする。
「骸様、彼女は…」
「噂のボンゴレの姫、彼方美瑠ですよ」
「…!利用されるのですか?」
その言葉にやはりそう思うかと今までの自分を振り返る。
自分以外の人間は利用するためにある。…犬や千種も、例外でない。
それが、僕という人間だ。
だから、美瑠もボンゴレの姫という地位を利用するために近づいた。
千種のことだからそう思ったのだろう。
もし仮に美瑠を利用してボンゴレを壊滅させる、もしくは乗っ取ることができたら。
…きっと、美瑠は僕を許さない。この笑顔を向けてはくれなくなるだろう。
それは、絶対に嫌だと思ってしまっていたのだ。
「いいえ。彼女は確かにマフィアですが…僕は彼女を大切にしたい」
「!!」
僕の言葉に、千種は小さく息を飲んで、まじまじと僕を見つめた。
よほど信じられなかったのだろう。…クフフ、僕も同じだ。
自分が自分を信じられない。こんなことを思うなんて。
千種は暫く考えるように黙りこんでいたが、すっと顔をあげて美瑠に手を差し出した。
「柿本千種。よろしく」
「柿ピーまで何言ってるびょん!」
「彼方美瑠っていうの!よろしくね」
「(…何となく骸様の気持ちが分かった気がする)」
美瑠の笑顔に千種は少し驚いたような…戸惑うような表情を見せたがすぐに小さく笑い返した。
…どうやら、この笑顔は誰の心も溶かしていくようですね。
現にさっきまで警戒していた犬もその笑顔にぼおっとしていた。
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