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「(なんなんら?今の…ただ笑っただけなのに、すげぇ…温かい…)
…城島犬だびょん」

「犬、だね。可愛い名前」

「初めて言われた…」



変なやつ、とでも言いたげに犬は美瑠を見つめる。
そんな美瑠も犬を見つめると少しだけ首をかしげた。
すると、すぐに驚いたように目を大きく見開き、一歩犬に近づいた。
その理由がわからなかった僕と犬がどうしたのだろうと怪訝そうな、戸惑ったような顔をする。



「怪我、してるの?」



その一言にようやく納得。

この間、犬がマフィアに追いかけられたときに不本意ながら怪我をしたものだった。
包帯をしているからといって、痛いとは限らない。
それに、大きな怪我でもなかった。

それでも美瑠は自分の怪我のように悲しげに目を伏せた。

その様子に元気づけるように、強がるように犬はいつもより強めに突っぱねる。



「別にこれくらいなんでもねーびょん!」

「そんなことないよ。怪我したとき、痛かったと思う」



哀しそうな顔をして美瑠は犬の包帯をそっと触る。
犬は少し悲しげにでも少し表情を和らげた。

きっと、美瑠に触れられたところが温かくて、心が和らげられているのだろう。



「痛いのが、私にも移るように…犬の痛みが少しでも、軽くなるように…」

「そんなの嬉しくねー!美瑠が痛かったらオレらも痛いじゃん!!」

「…私が痛いと、みんなも痛いの?」

「そうですよ」



不思議そうに犬の言葉を繰り返した美瑠に頷きながら、美瑠の手に自分の手を重ねる。
そして、ゆっくりと犬から手を離させた。

本当に犬の痛みが美瑠に伝わるのではないかと思ったから。
…そして、少しの嫉妬心から。

クフフ…僕も大人げないですね。



「美瑠に犬の痛みが移ってしまったら美瑠が痛い。
それは、僕らが嫌なんですよ」

「そう、なの?」



首を傾げてキョトンとする美瑠に一つの仮定が生まれる。

まさか……人の痛みはこんなにも敏感なのに自分の痛みとなると分からない…?

そう思うのと同時に僕は小さな子どもを諭すように口を開いた。



「それでも、僕らが嫌なんです。美瑠に心配されるのは嬉しいですが」

「そうなんだ…」

「美瑠は笑っててください。僕らはそれが一番嬉しいです」

「さすが骸さん!」

「…同感です」



ニッと笑う、犬。
笑ってないけど優しい雰囲気の、千種。
そして、美瑠に微笑む僕。

この三人を見渡して、美瑠はじわじわと表情を和らげる。




「私も三人が笑っててくれるのが一番好き!!」



すべてを照らし出す太陽のような、笑顔だった。

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