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愛しさを込めながらそっと美瑠の頬を撫でるとドタッという音がする。
…犬が、帰ってきたみたいですね。
「ただいま帰りましたー」
「おかえりなさい、犬」
「美瑠はまだ目ぇ覚めないんれすか?」
「えぇ。ちょっと強くしすぎたみたいですね、犬」
「うっ…ごめんびょん、美瑠」
「クフフ…犬は相変わらず美瑠のことに弱いですね」
あの頃からそうでした。
いつも「美瑠が泣きますよ」と言えば慌ててやめる。
「美瑠が怪我しました」と言えばすぐに美瑠に会いに行こうとする。
…僕も、千種も、同じようなものでしたけどね。
それだけ、美瑠が僕たちにとって大切な存在だということだ。
「美瑠は特別れす!ボーリングしーよっと!」
自分でピンを立てて(中には足りなくてペットボトルや空き缶で代用している)そこらへんに転がっているボーリングの球を投げる。
脆いもので、犬が投げた球ですぐにストライクをとることができた。
どこが楽しいのかわからないが、犬は好んでこの遊びをしている。
「骸さ〜ん!そういやどーだったんれすかー?
並中のボスの?スズメだっけ?アヒルだっけ?」
「ハズレでしたよ。歯をとるまで横になってもらいます」
「っひゃ〜生きてんのかな?そいつ」
「おや千種は?」
「柿ピーは3位狩りにまいりました。そろそろ面倒くせーから加減できるかわかんねーって」
「その気持ちもわかります。なかなか当たりが出ないものね」
「ん…」
「「…!!」」
お姫様のお目覚めのようですね。
声のした方に視線を向ければ美瑠のまつ毛が微かに揺れて、その瞼がもちあがる。
その様子に嬉しさから自然と笑みが浮かんだ。
待ち遠しかったですよ……
「あれ…?」
ぱちぱち、と何度か瞬きをするが、何故かうまく焦点が合わないのか目の前がぼぉっとする。
少し首もじんじんする……
あ、そっか…犬に叩かれて、それで……!!
急速に思い出された記憶に勢いよく体を飛び起こす。
「恭弥!」
恭弥が危ないっ!骸に勝てないのはわかるからっ……
恭弥…どこ…っ!?
慌てて周りを見回すと隣には恭弥ではなく、骸。…その近くには犬も、いる。
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