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「六道骸様」
「おや。目を覚ましましたか?3位狩りは大変だったようですね、千種」
千種が起きたので美瑠を抱きしめていた腕をゆっくりと離す。
(離れたとき、温もりも離れていって、少し…寂しいと思ってしまった)
(僕も、美瑠の前だと素直ですね)
美瑠は目を覚ました千種のところに駆け寄り、不安そうに千種の隣に座りこんだ。
「千種、大丈夫?痛いところない?」
「…大丈夫だよ。全然痛くないから。―――骸様、ボンゴレのボスと接触しました」
「…!!」
ボンゴレのボスに会った、という千種の言葉に美瑠が大きく目を見開く。
ボンゴレの姫なのだからもちろんボンゴレのボスを知っているのだろう。
その知り合いに千種が会ったことによって争いが起きることを懸念しているのだろう。
…もう、その懸念は少し遅いのですがね。
「そのようですね。彼ら、遊びにきてますよ。…犬がやられました」
「…!」
「うそ…っ」
僕の言葉に美瑠の顔色がどんどん悪くなっていくのがわかった。
犬がやられてしまった。つまり、相手方もただではすんでいないということ。
戦い慣れをしている美瑠なら想像にたやすいはずだ。
そう考えたらいてもたってもいられなかったのか、美瑠はすぐに立ち上がっていた。
きっと犬とボンゴレの仲間の怪我を治しに行こうとしているのだろう。
それを簡単に許すはずもなく、僕は立ち上がって今にも走ろうとしていた美瑠の腕をつかんだ。
「離して骸!私、行かなきゃ…!」
「美瑠、落ち着いてください」
「落ち着けないよっ!行かなきゃ…!!」
「…できれば使いたくなかったんですけどね…」
しょうがありません。
少し、寝ててくださいね……
懐に入れていた瓶の中身を煽ると暴れる美瑠の腕をぐいっと引っ張り、唇をすぐに重ねた。
驚きで固まっている美瑠に正気に戻る前にとすぐさま美瑠の口の中に先ほど煽った液体を流し込む。
その感覚に美瑠は吐き出したいのか暴れるがそんなことは絶対にさせない。
この時ばかりは舌を絡めたり、吸ったりして、さらに口づけを深くしていった。
キスに慣れていない美瑠はうまく呼吸ができなくて、しばらくするとごくり、という音とともに液体を飲みこんだのがわかった。
「…飲みましたね」
「何を…、…っ!?」
くらりと頭の中だけで地震が起きたように頭がゆれる。
目が霞む…意識が……っ
瞼が下がっていく中見えたのは、骸の優しく…そして少しだけ悲しそうな顔。
「おやすみなさい…しばしの眠りを」
「む…くろ……」
引きずられていくようにして私の意識は深く深く、沈んでいった――――
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