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体が重い……ねぇ…ここはどこ…?
…真っ暗だよ……

ねぇ…誰か……返事をして……



28 心の奥



「っつ……」




痛みで意識が浮上し、思わずくぐもった声がもれる。
ゆっくり体を起こした瞬間に訪れる鈍い痛み。…骨が何本か折れてる。
でも幸い、腕と足の骨は折られてないみたいだね。

痛みに眉を顰めながらも、自分の状況を把握するためにさっとあたりを見渡す。

…小さな、独房のような場所。コンクリートの壁で囲まれてる。
いつもの僕ならコンクリートなんて壊すのは簡単だけど、怪我というハンデがある。
出るにはまだちょっと痛いな…、…でも、そんなこと言ってられない。

美瑠が、あいつの所にいるんだ。
無防備な彼女のことだから、あいつの傍なんて危険すぎ。

それにさっきの夢……

頭をかすめる、涙と唇。
小さく頭をふり、じっと前を睨むように見据える。

早く、助けに行かなきゃ……



「美瑠…っ」



今、すごく美瑠の笑顔が見たい。

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