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暗い、暗い、闇の中。

ただ私はうずくまっていた。
泣いても、大声で叫んでも、誰かが返事してくれるわけでも、木霊するわけでもなく、何もない。

孤独感、不安、虚空感……
私の中にそれらの感情が入ってくる。

もう誰も…私を見てくれないの?…私は、一人なの?

ねぇ、誰か……


――――…恭弥……



「…ん」



え…?今……微かに聞こえた、誰かの声。

誰か、そこにいるの?

そのことに先ほどまでの虚無感が一気に晴れていく。
優しくて、たおやかで…どこか、懐かしい気配のする、声。



「美瑠…ちゃん」



懐かしいはずなのに、…初めて、聞いた声。
どこまでも私のことを心配してくれている声音に、涙が出そうだった。

大丈夫?と問われて、ゆっくりと頷くと少しだけ安心したような気配を感じた。

こんなに私のことを心配してくれる、姿の見えない女性。…あなたは一体誰なの…?



「私が誰かは教えられないわ……
でもあなたのことを一番に考えていて一番近くで見守っている者よ。
今、あなたはどこにいるかわかる?」



周りに何もない、ただ暗い世界が広がっている。

ううん…わからない。ここは、どこ?



「ここはあなたの精神の奥の前。これ以上奥に行くと危険よ」



精神の奥…?…ここが?

信じられない気持ちもあったが、女性に対する信頼感からか不思議と嘘だとは思えなかった。
自分の精神…つまり、内側の意識の中にいるなんて、どうして……
…ううん、今はそんな理由を考えている暇はない。

ねぇ、どうやったらここから出れる?
私、早く目を覚まして、骸を止めなきゃいけないの…!

そう訴えると、女性は少しだけ沈黙して、小さく私に問いかけた。



「外がどうなってるか…見る?」



見ることができるの…?



「えぇ。ホラ…」



暗闇しかなかった空間に、外の映像が広がる。
その映像に見えてきたのは、私の大切な友達。…ビアンキに武に隼人…リボーン……

そして、あれは…誰?

黒い短髪に、顔に特徴的なあざのある人。鋭い眼光だが、どこか、温かさを隠しているような人。
みんなはその人のことを“骸”と呼んでいることに首を傾げたが、武が吹き飛ばされたことで、そんなことを考える余裕もなくなる。
武!と叫んだ瞬間に現れる、額に炎を灯したツナ。
リボーンの「最後の切り札だ」という言葉に私の血の気はひいていく。

最後の死ぬ気弾を使ってしまったの!?
あの人は本物の“骸”じゃない!骸の前に使ってしまうなんて…!
…まさか、さっきみんなが彼を骸と呼んでいたということは、偽の情報を掴まされている…?

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