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「早くみんなを病院につれて行かなきゃ!!」

「それなら心配ねーぞ。ボンゴレの優秀な医療チームがこっちに向かってる」

「よかったっスね」

「獄寺君、無理しちゃダメだよ」



29 禁弾



「その医療チームは不要ですよ。
なぜなら美瑠以外、生存者はいなくなるからです」



喜びに満ちた中に響く、絶望的な声。
ふり返れば骸がこの場に似合わないほど綺麗な銀の銃を向けていた。

私と目が合うと骸は目を見開かせる。
私が起きているのに驚いているようで、軽く考え込むようにぽつりと呟いた。




「薬の効き目は24時間のはずですが…美瑠なら何があってもおかしくはありませんね」

「骸、もうやめて!」

「クフフフ」



私の言葉には何も応えず、ただ笑みをこぼすだけ。
どうしたの、骸。何を考えているの…?
そんな私たちの困惑をよそに、骸は笑みはそのままに一言つぶやいた。

しばしのお別れです。


そして、ツナ達を殺すために向けていたと思っていた銃を……


自分の頭に押しつけた。



「Arrivederci」


ズガンッッ!!


「骸!!!」



止める暇も、なかった。
私の声もむなしく、冷たい銃弾は骸の頭を撃ち抜いていた。

いやっ…!どうして……っ死ぬことはないのに…!

のばした手は虚しく空を切る。
残ったのは後味の悪い空気だけ……



「や…やりやがった」

「…そんな…なんで…こんなこと」

「捕まるぐらいなら死んだ方がマシってヤツかもな」

「骸…」



私の、大切な人が、一人、いなくなっちゃった……

助けて…あげられなかった…っ

大切な人を失った辛さがこみあげてきて、涙がこぼれる。


(失うなら、大切な人を、作らなければ、い、い)

(でも、そんなこと、できない。…できるはずが、ないの)




「生きたまま捕獲はできなかったが仕方ねーな」



リボーンの声がさびしく響き渡る。ぎゅっと手を握りしめると、ふとした瞬間に目に入った、ツナの様子。

みんなは後味が悪い、という何とも言えない顔をしている。
でも、ツナだけは、顔色がどこか悪かった。

まるで、何か、悪い予感がしているかのように……

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