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「でも…ふふ、あれは変な出会いだったよね」
「はい…」
あの時のことを思い出すと本当におかしいけど、いい思い出。
正ちゃんも苦笑しているが、きっと同じ思いのはず。
「…美瑠、そろそろ」
「あ、そっか!じゃあね、正ちゃん。ちょっと用事があるんだ」
「はい!また会えたら…」
「うん。今度はゆっくり話そうね」
ニコッと笑うと正ちゃんも笑い返してくれる。
なんだか…はにかんだような、照れたような、そんな笑顔。
こんな笑顔、初めて見たかも……
心が温かくなるような、そんな感覚を感じる。
そっか……人の笑顔って、こんなにも温かいんだね……
「じゃあね」
「さようなら」
少し手を振って、正ちゃんを見送る。
ずっとその方向を見つめていると……恭弥に無言で抱きつかれてしまった。
えっと…どうし、て?
「恭弥?」
「…正ちゃんって、親しすぎ」
「え?」
「…名前。僕やあの沢田綱吉達は同じように名前呼び捨てなのにあいつだけ、“正ちゃん”?」
「あっ…」
そういえば、そうだよね。
綱吉も長いし、みんなが“ツナ”って呼ぶから私もみんなと同じように呼び捨てで読んでる。
正一っていうのが長かったし、“ショウ”って呼ぶのもなんだかしっくりしなかったから正ちゃんって呼んでたけど、恭弥は不満なのかな…?
…うーん、違うな。きっと、正ちゃんだけ特別感が出てしまったから、恭弥は不満なんだ。
…恥ずかしいけど……呼んでみる…?
「…恭ちゃん…」
「…っ!」
「〜〜っやっぱり恭弥は恭弥だよ!ね、その方がいいよ!」
かああっと顔が赤くなったのがわかる。…と、同時に後ろから恭弥に抱きしめられた。
よく見てみると恭弥の耳も少しだけ赤かったから、やっぱり恭弥も恥ずかしかったんだ、と少しだけ安心した。
「すごく恥ずかしいね…」
「…僕も、」
同じだよ、とクスリと恭弥が笑う。
それが嬉しくて、私は恭弥に少しだけ寄り掛かった。
「…嬉しいな…」
「何で?」
「こうやって、幸せなのが…」
そっと、目をつぶる。
この温かくてぽかぽかした幸せに浸るために。
クスリと笑うと恭弥もクスクス笑みをこぼした。
抱き締められている間も髪を撫でられたり、小さくキスされたり。
ちょっと恥ずかしいけど、くすぐったい幸せ。
そんな幸せに二人で浸りながら……
公然の前でいちゃついてしまっていた。
(あとで気づいて、二人してやっぱり恥ずかしくなったとさ)
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